2020年7月に始まったレジ袋の有料化から早5年。レジ袋だけでなく紙ストローの普及も進み、定着しつつある印象です。
しかし、2024年末にスターバックスコーヒーが紙ストローを順次廃止し、バイオマスプラスチック製ストローを導入することを発表しました。「バイオマスプラスチック」とは、植物などの再生可能な有機資源を使用したプラスチック素材で、従来のプラスチックに比べて環境にやさしいとして、環境問題の解決に向けて期待されています。レジ袋有料化から5年が経ち、環境への取り組みが変化しつつあるのかもしれません。
そこで今回は、当社が運営するアンケートアプリ「coetto」に登録している女性モニターを対象に、レジ袋や紙ストローに関する意識について調査を実施しました。2023年に実施したエコバッグとレジ袋に関する意識調査とも比較しながらご紹介したいと思います。
2023年の調査に関する詳細は、以下のリンクよりご覧いただけます。
紙ストロー提供時はそのまま使う人が多数だが、使用感には不満も
まずは紙ストローに関する意識を調べるため「飲食店でドリンクを頼んだ際に、紙ストローが提供された場合、どうしますか?」と聞いたところ、全世代で「紙ストローを使う」が半数を超える回答を集める結果となりました。
ただ、10代は「プラストローがないか確認、変更をお願いする」が19%と他の世代よりもやや多い傾向となりました。
また「そもそもストローを使わない」を選んだ人が20代では9.8%、30代で17.1%、40代以上で11.1%と、20代以上では10%前後いるのに対し、10代では1.9%とかなり低い結果になりました。
若年層ほど「ストローを使って飲みたい」人が多いために、プラストローへの変更を願い出る方が多かったのかもしれません。
「紙ストローの使用感に関して、不満に感じたことはありますか?」という問いに対しては、全世代共に「やや不満に感じる」が最も多いという結果になりました。
「不満を感じているか」という問い方の影響を受けている可能性もありますが、紙ストローの使い心地については世代を問わず不満を感じている方が多いようです。
10代・20代のエコバッグ持参率は2年前よりも微減、30代以上は微増
続いて、レジ袋について「買い物をしたときに、どのような袋に入れていますか?」と聞いた結果を、23年の調査結果と比較してみました。
全世代において半数以上の方が「持参したエコバッグ」と回答しているのは2023年、2025年の結果を通して変わりませんでした。
エコバッグを持参している方の比率を世代ごとに比較してみると、10代は「54.6%→53.8%」で微減でしたが、20代は「61.3%→54.1%」で7.2ポイント減少。
また、23年の結果でもエコバッグ持参率が最も高かった30代は「72.9%→77.1%」とさらに4.2ポイントアップし、40代以上も「63.0%→70.4%」と7.4ポイントアップしています。
また10代では「有料の袋を購入」を選んだ人が「12.0%→18.4%」と2.3ポイントアップしており、2年前に比べてエコバッグの利用者が減り、有料の袋を買う人がやや増えていることがわかりました。
家庭を持つ割合が高い30代以上に比べて、実家暮らしでかつ個人で量の多い買い物などをする頻度が低い10代は、エコバッグを持つ習慣がある人が少ないのかもしれません。
「レジ袋の有料化に関して、不満に感じたことはありますか?」という質問に対しては、20代〜40代以上は「やや不満に感じる」が最多なのに対し、10代だけが「あまり不満に感じない」が32.3%と最も多くなっています。
20代以上の方はひとり暮らしをして自炊の機会が増えたり、家族の分の食料品などを購入することが増える傾向があるため、袋に入れずに済ませることが難しく、都度袋を購入するとなれば馬鹿にならない出費となってしまいます。また、レジ袋を無料でもらえていた時代の習慣が強く根付いている世代でもあるので、環境のためとは思いつつも不満を感じてしまうのかもしれません。
若年層は環境を意識したレジ袋提供に「好感度アップ」
では、昨年末にスターバックスコーヒーが採用を発表して注目を集めた「バイオマスプラスチック製ストロー」については、どのように感じる方が多いのでしょうか。
「プラストローや環境に優しいバイオマス素材のストローを提供している企業や店舗についてどう思いますか?」と聞いてみると、10代と20代では半数以上の方が「飲みやすくてうれしい」と回答する結果になりました。
また10代~30代は「企業努力が感じられるので好感度アップ」がいずれも2割を超え、提供する企業や店舗に対する印象も上がる傾向があることが分かりました。
さらに「紙袋や環境に優しいバイオマス素材のレジ袋を、無料で配布している企業や店舗についてどう思いますか?」という質問にも、「袋を用意しなくていいのでうれしい」がどの世代も最も高くなりました。
2023年の結果と比較すると「企業努力が感じられるので好感度アップ」と回答した方が10代で「13.0%→41.1%」に。20代では「13.3%→36.9%」、40代では「13.0%→25.9%」と大幅にアップしています。
レジ袋有料化への「少しの不満」が時間の経過と共に蓄積された結果、環境によい素材の袋の無料提供に関する好感度が上昇してきているのかもしれません。
利便性と環境意識の両立が購買意欲を高めるきっかけになる?
最後に「今後の飲食店での紙ストローについて、あなたはどのようにしてほしいと思いますか?」と聞いたところ「紙ストローの導入を進めてほしい」を選択した人は全世代で10%前後と少ない結果となりました。
20代では「紙とプラの選択制にしてほしい」が最多で、10代と30代は「紙とプラの選択制にしてほしい」「紙以外で地球環境に優しい素材のストローを導入してほしい」が同率となりました。
さらに「レジ袋の有料化について、あなたはどのようにしてほしいと思いますか?」と聞いてみると、全世代で「地球環境に優しい素材のレジ袋を無料で提供してほしい」が最も多くなりました。
2023年の調査結果と比較しても、消費者の「利便性と環境への配慮の両方を叶えてほしい」という欲求は強まっているようです。
2025年現在は2年前と比較しても、環境にやさしい素材のレジ袋やストローの提供によって企業イメージが上がりやすい傾向にあり、商品の購入意欲が高まるきっかけになる可能性もあると言えそうです。
調査概要
「紙ストローとレジ袋」に関するアンケート
調査対象者:10代以上の女性342名
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2025年2月18日(火)~3月4日(火)
執筆:関由佳
ライター・エディター。セールスライティングの執筆を中心に活躍しながら、心理カウンセラー・カラーセラピスト・筆跡アナリストの資格を活かし、前向きな女性の生き方を提案するコラムも執筆。
障がい者のためのフリーペーパー『Co-Co Life☆女子部』では副編集長を務める。