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アニメ視聴から始まるIPの発展 キャラクターへの愛着とファン行動の広がりを探る

フリュー株式会社は、「かわいい」や「好き」といった情緒的価値を起点に、プリントシール機やキャラクタービジネスなどを通じて、ユーザー一人ひとりの体験をプロデュースしてきました。長年にわたりコンテンツと生活者をつなぐ現場に関わる中で、生活者がアニメやキャラクターとどのような距離感で向き合い、どの瞬間に価値や愛着を見いだしているのかを、実体験に即した形で見つめ続けています。
そのうえで当社は、感覚的に語られがちな情緒的価値についても、できる限り構造的に捉え、客観的なデータとともに整理・可視化し、社会に共有していくことが、業界やかわいい文化の発展に重要であると考えています。
本調査では、アニメ視聴そのものを調べるのではなく、アニメがIP(キャラクターや作品)への愛着形成やファン行動にどのようにつながっているのかを明らかにすることを目的としました。
記事内では、視聴行動、作品評価、公式との接点、消費・発信・創作行動を通じて、アニメを起点としたIPの発展・ファン形成のプロセスについて考察します。

IPとの出会いは個人的な視聴体験から始まる

直近1年に実施した余暇・生活行動を聞いた設問において、「アニメを見る」と回答した人は全体の46.7%でした。
これは、「国内旅行をする」(45.8%)や「スマホゲーム・オンラインゲームで遊ぶ」(48.1%)に続き、アニメ視聴が日常的な選択肢の一つとして定着していることを示しているでしょう。

一方、週あたりのアニメ視聴時間に目を向けると、「1時間未満」「1時間以上3時間未満」が全体の約60%を占めています。アニメ視聴が必ずしもヘビーユーザー中心の趣味ではなく、生活の合間に無理なく取り入れられていると考えられます。

アニメ視聴は「ひとりでしか見たことがない」と回答した人が約半数に達しております。加えて、視聴場所については自宅で視聴する人が92.4%と圧倒的で、個人が作品やキャラクターと向き合う入口として機能していることがうかがえます。IPの発展においては、この最初の接触体験でキャラクターや物語への興味を喚起できるかどうかが重要である可能性があります。

ファン形成の起点はキャラクターと物語

直近1年に視聴した作品のうち、「もっとも好きなアニメ」を1作品のみ選択してもらった設問では、多数の作品に支持が分散しておりました。現代のアニメ視聴が「国民的作品一強」ではなく、「個々人の好みが多様化した状態」にあるのかもしれません。
このもっとも好きなアニメについて、どんな点が良かったかをたずねた結果を紹介します。
「キャラクター」(60.9%)と「物語の構成やテーマ」(60.1%)がともに6割を超えており、作品評価の中核を担っているといえます。
一方で、「原作再現度」(24.8%)は一定の支持を集めているものの、キャラクターや物語ほどの重要性には至っていません。この点から、忠実な再現そのものよりも、作品としての解釈や表現の魅力が評価されやすいことがうかがえます。
また、「映像表現」(35.6%)、「主題歌」(33.0%)、「声優」(30.1%)といった要素も上位に位置しており、アニメが総合的な体験価値によって評価されているメディアであることが確認できます。
誰が描かれているか、どんな物語として体験できたか、IPの発展において作品への愛着形成を生み出す起点になっている可能性があります。

ファンとの接点づくりはSNSからか

「もっとも好きなアニメ作品」について、公式(制作会社・配給会社・版権元)との交流経験をたずねたところ、「とくにない」と回答した人が68.8%と多数派を占めており、大半の視聴者は公式と直接的な交流を持たずに作品を楽しんでいることがわかります。
一方で、何らかの交流経験を持つ層に注目すると、最も多かったのは「公式SNSでのコメント・リプライ」(18.1%)「公式SNSでのハッシュタグキャンペーン」(12.7%)とSNS施策が並びました。次いで、「投票企画」(8.9%)「視聴者アンケート」(7.8%)「声優・スタッフ出演のライブ配信視聴」(7.9%)が続きます。「公式コミュニティでの交流」(3.7%)「オフラインイベント・トークイベント」(3.4%)「UGCコンテスト」(2.2%)などは限定的にとどまっています。
これらの結果から、アニメ視聴者の楽しみ方は一様ではなく、視聴のみで完結するライト層から、SNSでの反応、さらには双方向的な交流やイベント参加に至るコア層まで、グラデーションをもって存在していることがうかがえます。
公式との交流経験はSNS施策が多い一方、オフラインでの参加型行動は少数派にとどまることから、まずはSNSを通じた軽い参加機会を提供し、その後より深い関係性へと誘導していく段階設計が重要なのかもしれません。

IPへの愛着は消費・発信・創作へ広がる

アニメ視聴をきっかけとしたグッズ類の購入について、全体のうち「お金を使ったことがない」が46.8%と、視聴が必ず消費につながる構造ではありません。一方で以下図の通り、残りの半数、つまりグッズ類を購入する視聴者において「本・マンガ・書籍」が57.2%と最多で、「フィギュア」「DVD・Blu-ray・CD」「ぬいぐるみ」などが続きました。
グッズ購入金額を見ると、「1万円以上」と回答した人は27.3%でした。一方で少額購入層も多く、アニメとの関わり方は一様ではありません。視聴のみで楽しむ層から、グッズ購入を通じて作品との接点を深める層まで、さまざまな段階のファンが存在していることがうかがえます。

オンラインでの発信については、「オンライン上で発信したことはない」を除く約3割が何らかの発信経験を持ちます。またイラストや漫画、動画などの創作経験者も1割ながら存在します。
グッズ購入だけでなく、発信や創作まで行う層が存在することから、ファン行動は消費だけで完結しないことがわかります。IPの発展においては、視聴後に「関わる理由」を複数用意することが、長期的なファン形成につながる可能性があるでしょう。

まとめ

本調査からは、アニメがIPと生活者をつなぐ入口として機能していることが見えてきました。
特に、キャラクターと物語への共感が愛着形成の起点となり、その後、公式との交流、グッズ購入、発信、創作へと関与が広がっていく構造がうかがえます。
IPの発展の観点では、視聴してもらうこと自体を目的とするのではなく、視聴後にキャラクターや作品との接点を継続的に設計し、段階的に関与を深めてもらうことが重要だと考えられます。
アニメはそのための有力な入口であり、キャラクターへの愛着を起点として長期的なファン関係を構築できるかどうかが、今後のIP発展の鍵になるのかもしれません。

調査概要

調査案件 :アニメ視聴に関する調査
調査対象者:社外モニター(2,353ss)
調査方法 :オンラインアンケート
調査時期 :2025年12月
調査企画者:林 佑樹(フリュー株式会社)

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