フリュー株式会社ガールズ総合研究所と株式会社CURIO SCHOOLがタッグを組み、より的確に、よりリアルなガールズ実態を捉えるために1年間限定で立ち上げた、Z世代女子が自分たちの価値観やトレンドを探る「エンタメ部」。
第5弾となる今回は、日々の生活を彩り、感情を動かすものこそが「エンタメ」であると定義し、彼女たちの日常に寄り添うコレクションに着目しました。 高校1年生~大学院1年生の女性部員5名による事前リサーチとそれを踏まえた座談会によって、コレクションが単なる収集ではなく、選ぶ楽しさや記憶、自己表現、人とのつながりを支える存在であることが見えてきました。
その熱量あふれる座談会の様子を、実際の発言を交えてたっぷりとお届けします!
※参加部員の名前は仮名です。
1. それぞれの【好き】が詰まった、多種多様なコレクション
まず部員たちに、自身が集めているものについて聞いてみました。すると、その内容はアーケードゲームのカードやプリ、コスメ、資格の合格証、シャーペン、便箋など実にさまざま。
一見するとバラバラにも見えますが、彼女たちが集めているものは大きく3つに分類できそうです。
【選んで楽しむため】に集める
より楽しく過ごしたいという目的のために集まるコレクションです。
Kさんは、「筆箱に何本かシャーペンを入れていて、その日の気分で使い分けています」と話します。
単に書くための道具ではなく、その日の自分らしさを選ぶためのコレクションでもあるようです。
▲Kさん提供の写真
またNさんはブックカバーや栞などを「デザインの違いを楽しみながら使っている」そうです。
▲Nさん提供の写真
【記憶を残すため】に集める
思い出や人との関係性を可視化するためのコレクションです。プリ、アーケードゲームのカードなどが当てはまります。
Mさんにとってアイドルゲームのカードは、「限られたお小遣いの中で友達とゲームセンターに通い集めた大切なカード。名前が記録されるため、誰と交換したかを思い出せる」と語っていました。
またWさんは、「その日の自分や思い出を残したくてプリを集めている」と語りました。
彼女たちにとってコレクションは、過去の自分を保存するアルバムのような役割も担っています。
▲Wさん提供の写真(過去のプリントシール紙/モザイク処理をしています)
【自分を支えるため】に集める
自分らしさや努力を形として残すコレクションです。Wさんが大切にしている資格の合格証は、「頑張った証明として残り続ける」存在として自分を鼓舞するものになっているようです。
Iさんは「小さくてキラキラしたネイルパーツは、見ているだけでかわいくなりたいモチベーションが高まる」アイテムとして集めています。
コレクションは、今の自分がどんな人間でありたいのか、それを支えるツールでもあるようです。
▲Iさん提供の写真
2. Z世代がデジタル時代に、あえてモノを残す理由
デジタル全盛期のいま、なぜプリやカードなどの物理的なモノを集めるのか。紙モノに関してメンバーで共通して集めている経験を持っていたことをきっかけに、運営からの「スマホで撮って保存するだけじゃダメなの?」という率直な疑問が投げかけられました。座談会を通して見えてきたのは、彼女たちがモノそのものだけではなく、そこに紐づく体験価値も集めているということでした。
上記で述べた3つの価値に加えて、物理的なモノだからこそできる、誰かとの繋がりがあるのかもしれません。
■ 触れる:手に持てるという特別感
画像データとしてスマートフォンに保存するだけでなく、実際にスマホケースに挟んだり、それ自身をもって背景と一緒に写真を撮影するという物理的な体験を生み出せるからこそ、特別なコレクションとしての価値を感じるようです。
Iさん:むしろ手に持てるっていうのが一番大事だと思っていて。仮想空間の画像とは違って、実際に手に持って写真を撮ったり見せたりするのが一種の遊びやコミュニケーションツールになるんです
Wさん: わかります!スマホケースの裏にプリを入れますけど、1枚しか入らないじゃないですか。だからそこに「選ばれる友達」みたいな特別感があって。ずっと入れてくれているとやっぱり嬉しいんですよね
Kさん: 確かに、デジタルだと見返す時にスワイプで一瞬だけど、シール帳のページをめくっていくと集めてきた過程の重みとか時の流れを実感できる気がします
■ 共有する:お揃いの安心感と温かさ
デジタル上で画像を共有するのとは異なり、物理的に同じモノを共有し、身につけるという行為は、友人と過ごした時間や温かい気持ちを実感するための大切な手段となっているようです。
Mさん:単に同じ画像を持っているんじゃなくて、同じ紙を持って「この時一緒にスマホに挟もう」と決めて挟んだものが続いているって考えると、デジタルでは味わえない温かい気持ちになりますよね
Nさん: すごくわかります。私は部屋を整理するときにプリを捨てるか迷ったんですけど、友達は大切に保管してくれているかもしれないから、私が捨てちゃうと申し訳ないなって。友達への気遣いというか、繋がりを感じるからこそ残していますね
3. 集めるコレクションと集まるコレクション
議論の途中、部員たちはコレクションの定義そのものについて考え始めました。そこで浮かび上がったのが、【集めるコレクション】と【集まるコレクション】という考え方です。意図的に集めるコレクションが【好き】を表すものだとすれば、いつの間にか集まっているコレクションは、その人自身の価値観や個性を映し出すものと言えるのかもしれません。
Nさん: 考えているうちに、私たちが持っているもの、日常生活にあるものすべてがコレクションなんじゃないかって気がしてきて……
Wさん: 確かに!私も気づいたら家に某メーカー製品が揃ってて、これもコレクションかもって思いました
Kさん: でも、意図して集めているアニメのアクスタみたいなものと、日常に潜んでいるものって、コレクションしてる感に違いがあるような気もして……
Iさん:じゃあ今、手元にあるものを3つ出して見せ合ってみよ!
オンラインで行われた当座談会において、画面越しに部員たちが身の回りのモノを見せ合う展開に発展しました。
■ 他人と比較して初めてわかる、無意識の個性と安心感
意図的に集めるコレクションが好きを表しているとすれば、気づけば集まっているコレクションは、その人自身の価値観や個性を映し出しているのかもしれません。好きなモノに囲まれることで得られる安心感こそがコレクションの正体ではないかという発見を、他人と持ち物を見せ合ったからこそ得ることができました。
Mさん:気づいたらサボテンとかナスの被り物とか、変なものばっか集まってて。無意識のうちに集めていることに気づきました
Nさん: 私は犬や猫、おにぎりのキャラクターなど、生き物が多いです。勉強中に見つめられたくて。
Iさん: 私はカラフルなものばっかり。こういう風に他人と比較して初めて、自分の集めているものの系統や個性に気づくんですよね
Mさん: あ、今思いましたけど、自分の好きなものに囲まれている部屋って安心するじゃないですか。コレクションの正体って、この安心感なのかもしれません
4. コレクションはいつ完成するのか
最後に、運営からの「好きなものを集めるコレクションが完成するのはいつか?」という問いかけに対し、部員の皆さんから興味深い意見が寄せられました。
■ コレクションは終わらないものであり、いまの私といえる
コレクションは特定のアイテムを集めきって終わるものではなく、興味関心の移り変わりも含めて一生続いていくもの。その時々の【いまの自分】を映し出す鏡として、常に完成し続けている状態であるという深い見解が示されました。
Iさん: いつ完成するかと言えば「死ぬとき」なのかなって。人生の過程で興味が移り変わっても、それらすべてを含めて自分のコレクションになっていく。だから永遠に終わらないものだと思います
Nさん: 私は逆に、コレクションは今の自分を表すものだからこそ、1分1秒の「現在の私」を表すコレクションとして、常に完成している状態なんじゃないかと思います
5. まとめ:Z世代にとってのコレクションとは
モノを集めるという表面的な話題からスタートした今回の座談会。しかし彼女たち自身が自発的に対話を重ねる中で、コレクションとは単なる物欲ではなく、自己表現の手段であり、精神的な安心感の源であり、そして他者との温かい繋がりを確認するものであるという本質的な価値にたどり着きました。
最後に、参加した部員の感想をご紹介します。
Mさん: コレクションは自分を表すもので、その中に『お揃い』があると安心するんだなと、生活の中の疑問点が繋がってすごくいい時間でした。
Iさん: 自分が買うもの、手に取るものすべてがコレクションなのかなと思うと感慨深いです。毎回思わぬところに話が広がって本当に面白いです。
Wさん:自分が持っているもの全てに個性が溢れていて、他人と話して比較しないと分からないことがいっぱいあって楽しかったです。
Nさん:自分のコレクションに対するあやふやだった認識が、皆と意見をぶつける中で一気に固まっていく感覚がありました。考え方が変わる時間でした。
Kさん:コレクションは自分の中に記憶や体験として溜まっていくもので、それが未来に生きる自信になっていくのだと思いました。
今回の座談会を通して、デジタルネイティブだからこそ、手に取れる物理的なモノに特別な価値や温かさを見出している点が非常に興味深く感じられました。また、単なる物集めではなく、自分自身を表すものというコレクションの本質的価値に行き着いたことにも驚かされました。
何より、部員たちが自発的に手元のモノを見せ合い、互いの意見で議論を深めていく姿には深く感動しました。 (内田 嵩/西山 恵太)
今回の座談会を通して印象的だったのは、部員たちがコレクションの中身だけでなく、集める過程について多く語っていたことです。プリを撮った日の出来事を思い出したり、誰とお揃いにしたかを振り返ったり、気分によって文具を選んだりと、彼女たちが価値を感じていたのはモノそのものではなく、そのモノに紐づく体験や感情でした。
また、集めるコレクションから気づけば集まっているコレクションへと議論が広がったことで、コレクションとは特別な趣味だけではなく、日々の選択の積み重ねそのものなのだとも感じました。
若年層にとってコレクションは、何を所有しているか以上に、自分がどのような体験を重ねてきたのかを映し出すものなのかもしれません。こうした視点は、これからのモノづくりや体験設計を考える上でも、「何を提供するか」だけでなく、「どのような記憶や意味が残るのか」を考える重要性を示しているように感じました。
(林 佑樹)
調査概要
調査案件 :コレクションに関する調査
調査対象者:CURIO会員(5名)
調査方法 :インタビュー
調査時期 :2026年6月
調査企画者:エンタメ部事務局/調査企画・執筆
・内田 嵩/西山 恵太(株式会社CURIO SCHOOL)
・林 佑樹(フリュー株式会社)








