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*2021年夏 自社調べ

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なぜ“かわいい”に惹かれるのか──根強い人気のファンシーキャラとクレーンゲームの関係性

一般社団法人 日本アミューズメント産業協会(JAIA)の発表によると、アミューズメント業界はコロナ禍で一時的に落ち込んだものの、その後は右肩上がりの回復が続いています。2023年度のオペレーション売上高は5,384億円に達し、そのうち3,684億円(68.4%)がプライズゲームという圧倒的な比率を占めています。まさにプライズが、アミューズメント産業全体の活況を力強く牽引している存在といえます。

今回、長年愛されるファンシーキャラクターを推すクレーンゲームプレイヤーにインタビューを行ったところ、一般商材とは異なる、独自の購買モデルとエコシステムが形成されていることが示唆されました。

ファンシーキャラ好きは“考える前に動く”

例えば【認知し、興味を持ち、検索し、購買し、そして共有する】といった購買モデルをはじめ、様々な理論が提示されておりますが、今回のインタビュー参加者においては比較検討やレビュー確認がほぼ存在しない、という特徴がわかりました。
インタビュー参加者がいずれも、ゲームセンターの店頭で景品を見つけた瞬間、【かわいい→そのままプレイする】という行動をとっていました。

「X(旧Twitter)で流れてきて目に留まったやつもあるんですけど、やっぱりパッて見たときに可愛いって思ったら欲しいってなって、調べて買う感じですね」(Sさん)

「直接ゲーセンで見て、衝動的に獲りたい、可愛い、みたいな感じでやります」(Nさん)

「家の近くにゲーセンがあるので、通りがかって『あ、好きなキャラがいる』ってなって、すごい良かったらもう飛び込みます」(Oさん)

さらに、事前に景品の存在を把握して来店した場合であっても、動機の中心はやはり 「かわいいから欲しい」 に集約されています。公式グッズと比較したスペック比較が一部で行われたものの、彼女たちにとっての価値基準は極めて直感的で、一瞬で心をつかめるかどうかが勝負どころだといえます。

ただし、ファンシーキャラクターにおいて「かわいい」という感情は、単なる造形評価に留まらず、長年の接触によって形成された関係性への反射的反応であり、再会に近い感情も含むものだと考えます。だからこそ、比較検討することなく、意思決定が一瞬で完了するのかもしれません。

「小っちゃい頃からずっとそばにいてくれたキャラクターで、今もずっとお守りみたいにしてます」(Pさん)

「0歳の時から隣にいて、タオルとかも全部。気づいたらずっと身の回りにありました」(Oさん)

なぜ非公式アカウントが“情報の第一選択肢に”になるのか?

プライズに関するプレイヤーの行動をさらに掘り下げてみると、とくに特徴的なのが情報源の構造です。
ファンシーキャラに関心を持つプレイヤーの多くは、公式の一次情報だけではなく、それらを整理・発信している 非公式のSNSアカウントも主な情報源として利用していることが分かりました。

「公式ホームページも見ますけど、非公式アカウントも見ます。好きなキャラの情報をまとめてる人がX(旧Twitter)にいて、それを見ることが多いです」(Oさん)

「非公式でX(旧Twitter)に情報をまとめてくれている個人の方がいて、公開グッズ情報を見てます」(Nさん)

「SNSで可愛いなって思ったやつが、どこに売ってるのか分からない。どこで売ってる、リンクこれ、って全部まとめて貼ってくれているアカウントを見ています」
(Pさん)

このような構造が生まれる背景には、プライズ特有の事情があると考えられます。プライズはアミューズメント専用商品のため 公式ショップでの取り扱いがなく、版元が提供する情報は必ずしも網羅的ではありません。その結果、情報が複数の企業・媒体に分散しやすく、公式だけでは追いきれないというプレイヤー側の課題が生じます。“情報の断片化”が起きやすい領域ほど、非公式のまとめアカウントが事実上の情報集約点として存在感を強めるケースがあると考えられます。

また、ファンシーキャラクターの商品は、その種類数が非常に多い点も背景にあるかもしれません。ぬいぐるみやフィギュアといった鑑賞・収集が目的になりやすいアイテムにとどまらず、キーホルダー、アパレル、生活雑貨など、日常生活のさまざまな場面に入り込む商品が幅広く展開されています。こうした多カテゴリ展開により、ファンはキャラクターに日常的に触れ、繰り返し愛着を感じる機会を持ちやすくなります。このように、キャラクターは生活の一部として認識され、即時的かつ直感的な意思決定を促す存在へと変化していく可能性が示唆されます。

獲得だけではないクレーンゲームの体験価値

クレーンゲームの魅力は、【取れるかどうかは別として、ワンコインでまず挑戦できる】という参加のしやすさにあると考えます。ユーザーにとっては、景品を獲得することそのものだけでなく、クレーンで遊ぶという体験自体が価値になっているでしょう。

さらに、今回のインタビュー参加者を通じて、ファンシーキャラクターを推す方において意思決定の基準が明快であることがうかがえました。自分のなかで“かわいい”と感じられるかどうか、この基準を超えたファンシーキャラは目の前の機会を逃さずチャレンジする、という可能性です。

もし取れればコレクションが増える、推し活がより充実する――その期待感こそが、行動の原動力になっているのかもしれません。

調査概要

調査案件 :ファンシーキャラのクレーンゲームプレイに関する調査
調査対象者:他社モニター(4名)
調査方法 :グループインタビュー
調査時期 :2025年12月
調査企画者:林 佑樹