近年、カプセルトイ市場は著しい成長を遂げています。一般社団法人日本カプセルトイ協会(JACTA)の発表によると、市場規模は2024年度の約1,410億円から、2025年度には約1,960億円へと39%増加し、過去最高を更新しました。 さらに、店舗型専門店は全国で900店舗以上に拡大し、商品単価の上昇や大型カプセル対応マシンの普及により、ラインナップはかつてない広がりを見せています。
こうした市場拡大の原動力として特に注目すべきが、JACTAも主要なお客様として言及しているように20〜30代女性を中心とした利用者層です。本調査記事では、この女性層の行動と価値観に焦点を当て、急拡大する市場の背景を紐解いていきます。
月イチ以上が半数超え
当社で実施した調査で、回答者全体のうち直近1年におけるカプセルトイの利用率は35.6%と、約3人に1人が楽しんでいることが分かりました。購買行動としてすでに幅広い生活者に浸透しているといえます。さらに、利用頻度をみると 「1カ月に1日以上」(51.2%)が最も多く、半数以上が定期的に利用していることが特徴的です。一方で 「3カ月に1日未満」(26.4%)という層も存在し、日常的に楽しむユーザーや、思い立ったタイミングで気軽に回すユーザーのいずれもが存在しているようです。低価格で短時間に完結する特性が、生活のリズムや気分に応じて受け入れられていると考えられます。カプセルトイは今や、日常の中に自然と入り込み、多様な頻度で愛される身近なエンタテインメントとなっています。
ワンコインから気軽に楽しめる
直近に回した際の支出帯が「101〜500円」42.3%、「501〜1000円」27.4%と、ワンコインから千円程度の価格帯での利用が多いことがわかりました。また、当日の回数は「1回」33.0%、「2回」25.9%、「3回」16.5%という順でした。1回あたりの金額が安価で、確実に手に入る体験構造は、今日はここまでと自制が利く安心感と小さな成功体験に繋がり、リピートにつながりやすいのかもしれません。 この低負荷設計は忙しい日常のすき間時間とも相性がよいと考えられます。例えば買い物帰りや乗り換え時に1〜3回だけ回して帰る、といったちょっとした遊びを自然に生んでいるのかもしれません。
※グラフは四捨五入の関係上、合計が100%にならない場合があります。
5種前後で作り出す小さな世界観
次に、カプセルトイを楽しんでいる方はどのようなアイテムを求めているのかをご紹介します。なお、以降はあくまで非食品系商品を対象とすることで、「欲しい」「集めたい」といった動機に基づく行動にフォーカスしました。このため、食品系商品を回した方を除いて集計しております。
直近回したアイテムの内訳を見ると、最も多いのはマスコット・フィギュア(61.1%)でした。一方で、ミニチュア系(11.6%)、雑貨類(12.5%)、ぬいぐるみ(7.0%)といったカテゴリーはまだ規模が小さいものの、裏を返せば大きな伸びしろを持つ領域ともいえます。推し活文化の広がりを踏まえると、いずれも推しグッズとして親和性が高いカテゴリーであり、撮影・持ち歩き・飾るといった楽しみ方と結びつきやすい点から、今後の成長余地があると考えられます。
またシリーズ設計は、利用者がカプセルトイを回し続ける理由をつくる重要な要素といえます。例えば、キャラクターのカラーやポーズにバリエーションを持たせるものや、複数のアイテムを組み合わせることで飾り方や楽しみ方が広がるものがあります。
調査では、1シリーズあたりの種類数が「5種」30.4%、「4種」「6種以上」21.1%と、5種前後の構成が主流です。
決めて来る人、見ながら選ぶ人。異なる来店動機のスタンス
来店動機をみると、直近回転時の目的は「目的のアイテムを獲得するため」35.0%が最多でした。次いで「好きなキャラクターや作品のアイテムを探す」27.9%、「かわいい/楽しいものを探す」13.9%が続いています。
このことから、欲しいアイテムを明確に決めて利用する層と、その場での出会いや雰囲気を楽しむ層の双方が存在しているのかもしれません。
目的のアイテムを求めて来店する行動の背景には、SNSを通じた情報との出会いがあると考えられます。
情報のきっかけとしては、X(49.8%)やInstagram(47.9%)の利用が多く、テキストや画像、動画といった多様な形で商品情報に触れている様子がうかがえました。
SNS上での情報接触を通じて、「発売を知る」→「設置場所を把握する」→「タイミングを見て利用する」という流れができあがり、ユーザーが自分のペースで行動を選び取っている姿が見えてきます。
本調査から見えてきたのは、カプセルトイが単なる偶然の楽しみではなく、自分の意思で楽しむ“日常のエンタメ”として定着しつつあるという点です。
月イチ以上利用する人が半数を超える背景には、手頃な価格で無理なく楽しめることや、数回で揃えられるシリーズ設計があり、気軽に達成感を得られる体験につながっていることがうかがえました。さらに、推しキャラクターや好きな作品のアイテムは「欲しいから回す」という動機を強くし、飾る・持ち歩くといった楽しみ方も広がっていることでしょう。こうした要素が重なり、カプセルトイは日々の中でちょっとした楽しみや充実感を与える存在になっているといえるのかもしれません。
調査概要
調査案件 :カプセルトイに関する調査
調査対象者:他社モニター(15~39歳の女性・772ss)
調査方法 :ウェブアンケート
調査時期 :2026年2月
調査企画者:林 佑樹





