中高生に人気のジャンルは美容・医療・教育
中学生と高校生に「将来就きたい職業について、現時点で興味のあるジャンルをすべて選んでください」と聞いたところ、中学生で最も多かったのが「美容(美容師・エステティシャン・ネイリストなど)」(34.3%)、次いで「教育・保育・学術(教師・保育士・研究職など)」(22.6%)、「医療・看護・医薬品(医師・看護師・薬剤師・助産師など)」(22%)という結果になりました。
高校生は「医療・看護・医薬品(医師・看護師・薬剤師・助産師など)」(22.3%)が最も多く、「教育・保育・学術(教師・保育士・研究職など)」(22.1%)、「美容(美容師・エステティシャン・ネイリストなど)」(16.4%)と続き、中高生のどちらも順位に前後はありますが、美容系・医療系・教育系のジャンルの人気が高いことがわかりました。
「興味のあるジャンル」として選んだ中から、現時点で最も興味を持っているジャンルをひとつ選んでもらったところ、中高生どちらも順位は変わらず、中学生は美容系が、高校生は医療系が1位となりました。
アイドルや俳優志望は半数減。高校生になるとより選択が現実的に
続いて「一番なりたい職業」について質問してみたところ、中学生は「保育士・幼稚園教諭」(7.9%)、高校生は「看護師」(7.7%)がトップとなりました。
「保育士・幼稚園教諭」以外でも、教育系の職業の人気は高いようです。「小学校教師」「中学校教師」「高校教師」を選んだ人を合計して「教師」という職業として見ると、中学生では4.9%と全体の3位である「ウェディングプランナー(4.8%)よりも多く、また高校生も「教師(小学校・中学校・高校の合計)」は7.3%で同じく全体の3位という結果となりました。昨今は教育現場の人手不足が問題になっていますが、学生時代では、まだまだ憧れの職業として志す人は多いようです。
また、前述した「将来就きたい職業のジャンル」について、中学生は1位、高校生でも3位となった「美容」ジャンルの職業で最も多かったのが「ヘアメイク・メイクアップアーティスト」(中学生で2位、高校生で4位)となりました。さらに、「美容師・理容師」は中学生で6位、高校生で7位にランクインしています。
中学生は、ジャンルとして美容系を選んだ人が最も多かったものの、「(美容関連業界)具体的には決まっていない」を選んだ方が1.9%で13位に入っているところを見ると、美容系の職業に憧れを持ってはいるものの、具体的な職業選択まではできていないという方も多いようです。
一方で、中学生では人気でも、高校生になると支持が下がる職業で特徴的だったのは「アイドル」と「俳優」でした。アイドルは4.6%から2.2%と2.4ポイント下がり、俳優は2.1%から1.1%と1ポイント減少し、どちらもおよそ2分の1の数となっています。やはり、現実的な進路を考えた時に、親の意向や本人のモチベーション、またポテンシャルなど、厳しい道であることを自覚するのかもしれません。
また、「将来就きたいジャンル」のトップ3にも入っていた医療系にも注目したところ、「医師」は中学生が3.2%で、高校生が1.7%と大きく下がっているのに対し、「看護師」は中学生で4.8%と高めな上に、さらに高校生でも7.7%と大きく上昇しています。医師はドラマや漫画などで描かれやすく、自身の生活でも身近な存在のため、いつの時代も憧れやすい仕事ですが、医学部での修学期間は6年間に及ぶなどハードルが高い職業でもあります。また、病気を治療する医師に対し、患者により寄り添う形になる看護師の方が、身近な存在として捉えやすいのかもしれません。その他に、ライフステージに合わせやすい働き方ができるなどの利点もあり、将来性を考えて看護師を選ぶ方が増えるのかもしれません。
将来のために何かしらの行動を起こしている人が、高校生は中学生の2倍に
次に、「なりたい職業に就くために現在していることはありますか?(複数回答)」という質問をしてみると、最も多かったのは、中学生が「なりたい職業について情報を集めている」(39.6%)、高校生は「なりたい職業に就くための学校への進学を考えている」(54.2%)となりました。
「特に何もしていない」という回答について、高校生が16.5%に対し、中学生は33.2%と倍以上も多く選んでいることを鑑みると、中学生の方が将来の職業に対してまだまだ現実と結びつけにくい傾向にあるようです。やはり、高校生はより具体的な進路を検討する必要があるため、現実的になりたい職業との関連性の高い学校選びをするなど、一歩前を進んでいる印象です。
また、高校生では2割近くが「なりたい仕事に就くための学校に通っている」と回答し、すでに目指す職業への道を踏み出している方も多くいます。中学生と高校生では、将来への意識や具体性に大きな差が見られるようです。
将来への漠然とした不安…教育現場や家庭でサポートを
最後に「なりたい職業について不安に思っていることや期待していること」(複数回答)について聞いてみると、中高生ともに半数以上が「希望どおりの職業に就けるかわからず心配」を選び、最も多い結果となりました。
また、中高生どちらも「自分がどんな職業に向いているかわからない」が2番目に多く選ばれ、やりたいことが叶えられるか、そしてそもそも向いている職業がわからない、といった、漠然とした不安を抱えている方が多いようです。
さらに、中学生は「希望の職業に就くために何をすればいいかわからない」(31%)が上位に挙がり、前述のなりたい職業に就くためにしていることでも「特に何もしていない」が多かったことから、どうしていいかわからず、しかも何もできていないことを不安に思う方が多いのかもしれません。
中学生・高校生が自分のやりたいことや特性を自身で理解することは、まだ難しい時もあるかもしれません。本人がなりたい将来像を自由に思い描けるよう、教育現場や家庭における対話などの重要性が垣間見える結果が見えてきました。
調査概要
「なりたい職業」に関するアンケート
調査対象者:10代~20代の女性3565名
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2024年12月16日(月)~12月30日(月)
執筆:関由佳
ライター・エディター。セールスライティングの執筆を中心に活躍しながら、心理カウンセラー・カラーセラピスト・筆跡アナリストの資格を活かし、前向きな女性の生き方を提案するコラムも執筆。
障がい者のためのフリーペーパー『Co-Co Life☆女子部』では副編集長を務める。