プリントシール機シェアNo.1*のフリュー株式会社の調査機関「ガールズ総合研究所」によるガールズ実態調査メディア

*2021年夏 自社調べ

  • ホーム
  • 自主調査
  • 『ゆるキャン△』が連れてきた焚き火のある週末──作品世界の“ゆるい追体験”が生活を豊かにする?

『ゆるキャン△』が連れてきた焚き火のある週末──作品世界の“ゆるい追体験”が生活を豊かにする?

ひとりのキャンパーとして、『ゆるキャン△』で描かれるキャンプの空気感は、いつも驚くほどリアルだと感じます。焚き火のぱちぱちとした音、朝のひんやりとした空気、そして気ままなソロ旅の自由さ――。作品のなかの何気ないシーンが、実際のフィールドの感覚と自然につながっていくのです。
だからこそ、これまでキャンプに興味がなかった人でも「ちょっとやってみようかな」と思わせてしまう、不思議な吸引力があるのでしょう。ゆっくりお湯を沸かしてコーヒーを飲む、小さな旅へふらりと出かけてみる。そんな“日常の中のささやかな外遊び”へと、作品の世界観がそっと背中を押してくれているように思います。
こうした変化は、『ゆるキャン△』に限らず、コンテンツが人の余暇や興味とどんな距離感で寄り添い、どのように日々の選択肢を豊かにしていくのかを考える上でもヒントになります。
“ゆるっと始まるアウトドア”の背景にどんな小さなきっかけや広がりがあるのかを、大切に見つめてみたいと思いました。この記事では、その変化を調査から紐解いていきます。

週末の“小さな一歩”  ゆるっと始まるアウトドア行動

『ゆるキャン△』をきっかけに、生活者がアウトドアや旅行に“実際に”どのような行動を取り始めたのかを見てみると、最も多かったのは【キャンプ】(23.2%)でした。これは感覚的にも納得感のある結果で、興味深いのはその次に続く行動です。
【料理(キャンプ飯)・BBQ】(18.0%)や【コーヒーを飲む・コーヒーにこだわる】(13.0%)といった、 “シーンづくり”に関わる行為が上位に入っている点が特徴的でした。この傾向からわかるのは、アウトドアの行動動機が必ずしも“外へ出ること”そのものではなく、“その場の心地よさをどう整えるか”が重要な意思決定要素になっているということです。お気に入りのコーヒーを淹れる、簡単な料理を作る、焚き火を眺めながら過ごす——。こうした自分なりの豊かさをつくる行為が、キャンプ体験をより魅力的にしていることでしょう。
さらに、【温泉巡り】(14.5%)や【ドライブ】(14.2%)が上位に入っている点も見逃せません。これらは道具や準備が不要で、短時間・低負荷で楽しめるアクティビティです。週末の“小さな非日常”として取り入れやすいのかもしれません。
つまり生活者は、アウトドアを本格派かライト派かで二分しているわけではなく、その日の気分や手間とのバランスに応じて、複数のスタイルを柔軟に選んでいることが考えられます。

『ゆるキャン△』的アウトドア体験の広がり──地域ごとに異なる魅力構造

『ゆるキャン△』をきっかけにアウトドア/旅行行動をとった生活者は、実際にどこへ足を運んでいるのか。調査結果を見てみると、作品の主要舞台である【山梨】が25.6%で突出し、続いて【静岡】(17.6%)、【長野】(13.6%)が並び、まさに“作品の延長線上のフィールド”を巡る行動がしっかり生まれていることがわかります。
さらに興味深いのは、【神奈川】(14.9%)や【東京】(14.4%)といった、必ずしも作品の中心モデル地ではない都市近接エリアも高い比率で選ばれている点です。 ここから、利用者にとっての“行きやすさ”や“週末にちょっと出かける距離感”も重要な要素であることが読み取れます。

地域別の訪問スポットを見ていくと、その土地ごとの魅力構造の違いがはっきりとあらわれます。
まず山梨では、【湖・ダム】(56.5%)、【山・高原】(54.8%)が双璧で、次いで【道の駅】(47.8%)、【キャンプ場】(44.3%)と続きます。実際の訪問スポットとしては「本栖湖」、「身延山」、「富士山」、「道の駅しもべ」、「浩庵キャンプ場」など、作品に登場する景観や拠点が名指しで挙がっています。絶景と立ち寄りやすさの両方を求める行動が際立っている地域といえます。

次に静岡では、【道の駅】(45.6%、【山・高原】(41.8%)に加えて、【カフェ・飲食店】(32.9%)、【駅・路線】(30.4%)が上位に入ります(n=79)。 実際の訪問先としては、「道の駅 朝霧高原」、「大井川鐵道」、「さわやか 湖西浜名湖店」などが挙がり、“絶景だけではない寄り道の楽しさ”がこの地域の特徴となっています。

一方、長野では【山・高原】(62.1%)が圧倒的で、次いで【湖・ダム】(30.3%)、【川・渓谷】(27.3%)、【道の駅/キャンプ場】(25.8%)が続きます。訪問スポットとしては、「高ボッチ山」、「諏訪湖」、「道の駅 花の駅千曲川」、「高ボッチ高原キャンプ場」など、“滞在しながら自然に浸る”深いアウトドア体験が選ばれている傾向が見てとれます。

地域別データを紐解くと、生活者が『ゆるキャン△』をきっかけに訪れる場所は、 “モデル地巡礼”にとどまりません。
山梨では絶景と拠点の組み合わせ、静岡では立ち寄りスポットの多様さ、長野では深い自然体験と、地域ごとの魅力構造がそのまま行動に反映されています。つまり、作品が促したのはキャンプそのものではなく、その地域が持つ自然の表情、寄り道の楽しさ、滞在の深さといった“土地の魅力“を自分のペースで味わうことなのでしょう。

キャンプ未経験者を“行動するファン”へ──『ゆるキャン△』が創出した新アウトドア経済圏

『ゆるキャン△』をきっかけにアウトドア行動をとった生活者の、直近1年のアウトドア関連消費は、【1万〜4万9,999円】(24.7%)が最多でした。この価格帯は、キャンプデビューに必要なエントリーギア(チェア、バーナー、小型テーブルなど)や、モデル地への小旅行にかかる費用と重なる領域。つまり“ちょっと始めてみる人”が実際に財布を開いているレンジといえそうです。
次に続くのは、【5千〜9,999円】(16.9%)。こちらはデビュー前の“試し買い層”や、キャンプ飯づくり・小物購入などのライト行動が中心かもしれません。一方で、興味深いのは上位に位置する“中堅〜本格層”で、【5万〜9万9,999円】(12.9%)がしっかりと存在しています。この層は、テントやシュラフなど高単価ギアを揃えながら、作品のモデル地(山梨・静岡・長野)へ遠征するユーザーと考えられます。
さらに市場を押し上げているのが、一定割合を占めるヘビー層です。【10万〜49万9,999円】(7.6%)と【50万円以上】(5.1%)の両者を合わせると12.7%に達します。視聴をきっかけにキャンプへ深くのめり込み、ギアのアップグレードや遠征旅行に積極投資する層が確実に存在することがうかがえました。
この構造は、アウトドア市場にとって極めて大きな意味を持ちます。『ゆるキャン△』はライト層→コア層→ヘビー層という階段を自然に生み出し、消費レンジを広く押し上げていることが期待できます。生活者の背中をそっと押す作品の影響力が、実際の市場の動きとして可視化されている──そんな興味深い構図が浮かび上がります。

“できる気がする”を生むアニメ──ゆるキャン△が下げた参入ハードル

焚き火を眺める、温かいカップ麺をすする、朝日の中でテントを片づける――こうした等身大の時間が丁寧に描かれており、『ゆるキャン△』は、アウトドア未経験者でも自然と「この週末、試してみようかな」と思える温度感が保たれています。
さらに、作中には視聴者に“小さな成功体験”を疑似的に提供する構造があります。テントを張れた、焚き火を起こせた、美味しいご飯が作れた、といった行為が難しくなさそうに描かれることで、“やればできるかも”という気持ちが生まれます。これは、趣味としてのキャンプを一気に手の届く世界へ引き寄せる大きな要因となっています。
また、自然描写の力も見逃せません。静かな湖畔、澄んだ空気、満天の星空といった風景がアニメならではの美しさで表現され、この視覚的魅力は自然への憧れを強く刺激します。
視聴者の憧れを“行動”へ変換させるのは、道具の具体的な描写です。必要なギアは何か、価格帯はどれくらいか、どこで買えるか、といった情報が物語に自然と織り込まれており、未経験者が抱く“何を買えばいいか分からない”という不安を取り除いてくれます。
『ゆるキャン△』は視聴体験をただの憧れに終わらせず、実際のアウトドア行動へと自然に誘導する独自の力を持つに至りました。キャンプを始めた人の背景には、物語やキャラクターによる感情の後押しと、「自分にもできるかもしれない」という小さな自信があります。コンテンツが趣味をつくり、市場を広げ、行動を変える――『ゆるキャン△』はその可能性を実証した存在といえるでしょう。
TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON4』は、2027年放送予定です。新しい風と共に変わらぬ空気感でお届けする『SEASON4』では、どのようなキャンプを繰り広げるのか、続報を楽しみにゆるっとお待ちください。

【『ゆるキャン△ SEASON4』情報】

【スタッフ】

原作:あfろ(芳文社「COMIC FUZ」掲載)
監督:登坂 晋
シリーズ構成:ピエール杉浦
キャラクターデザイン:宇良隆太
音楽:立山秋航
音響監督:高寺たけし
オープニングテーマ:亜咲花
エンディングテーマ:佐々木恵梨
シリーズテーマ:キミのね
アニメーション制作:フリュー・ピクチャーズ

【キャスト】

各務原なでしこ:花守ゆみり
志摩リン:東山奈央
大垣千明:原 紗友里
犬山あおい:豊崎愛生
斉藤恵那:高橋李依
土岐綾乃:黒沢ともよ
瑞浪絵真:指出毬亜
中津川メイ:天野心愛
ナレーション:大塚明夫

【各シリーズ配信情報】

『ゆるキャン△』各シリーズが各種配信サービスにて好評配信中

[配信シリーズ]
・TVアニメ『ゆるキャン△』
・TVアニメ『へやキャン△』
・TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』
・映画『ゆるキャン△』
・TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON3』

【原作コミック情報】

まんがタイムKRコミックス/『ゆるキャン△』 あfろ著
最新第18巻まで好評発売中!
マンガアプリ「COMIC FUZ」(芳文社)にて大人気連載中! 

【アニメWEB&SNS一覧】

最後に、アンケート回答者から寄せられたアウトドア写真の一部をご紹介します。
日常の延長線上にある“外遊び”のリアルな姿から、『ゆるキャン△』の世界観が現実の風景へと広がっている様子を感じていただければ幸いです。

※当記事中の『ゆるキャン△』画像の権利表記
©あfろ・芳文社/野外活動ベース
※当記事中でアンケート回答者から頂戴した画像は、許諾を得て掲載しております。

調査概要

調査案件 :アニメに関する調査
調査対象者:『ゆるキャン△』の視聴経験者(970ss)
調査方法 :ウェブアンケート
調査時期 :2025年12月
調査企画者:林 佑樹