フリュー株式会社ガールズ総合研究所と株式会社CURIO SCHOOLがタッグを組み、より的確に、よりリアルなガールズ実態を捉えるために1年間限定で立ち上げた、Z世代女子が自分たちの価値観やトレンドを探る「エンタメ部」。
第3弾となる今回は、服装・メイク・ネイル・アクセサリー・写真加工等をファッションの一部として捉え、『私たちのファッションのこだわり』をテーマに、高校1年生~大学4年生の女子部員5名にリサーチを実施しました。リサーチ結果と座談会での発言から、現実世界とデジタル上でのZ世代女子の装い方についてお伝えします。
※参加部員の名前は仮名です。
1. 現実世界:その場に溶け込む服装と、自分を上げるメイク
座談会を通して見えてきたのは、ファッションアイテムによって「空間に溶け込むため」「自分のテンションを上げるため」という目的の違いがあることです。
空間に溶け込むための「服装」
服装は、その場の雰囲気に合わせて溶けこむことを重要視しているようです。おしゃれなカフェや静かな場所ではその空間になじむ服装を選び、テーマパークやライブ会場など、盛り上がりたい場所ではその空間の住人として没入できる服装を選んでいます。
-Iさん:私の友人はおしゃれなカフェに行く時、落ち着いて過ごせるように、お店の雰囲気に馴染んだ清潔感のある格好を意識しているみたいです。
-Iさん: ディズニーランドに行ったときは、カチューシャをつけたりするので服装も赤と黄色っぽくしてより一層没入できるようにしました。
-Kさん: 好きなアイドルのライブに行く時は推しが私服でしているコーデを真似て、そのアイドルの世界観に入り込むことを重視したコーディネートをしています。
自分のテンションを上げるための「メイク」
メイクはコンプレックスの解消や憧れの模倣などの手段として、自分自身のパフォーマンスやテンション、モチベーションを上げるスイッチとして作用しているようです。
-Iさん: 自分のコンプレックスを解消するような好きなメイクをすると、鏡を見た時とかちょっとしたときにテンションが上がります。
-Mさん:自分にとっての憧れがいるので、その人に似せたメイクをすることでテンションを上げています。
-Sさん: 学校でメイクが禁止されてる分、休みの日には自分の好きな地雷メイクをして自分のポテンシャルを楽しんだりモチベをあげたりしてます。
空間に溶け込みつつ自分のテンションを上げるための「ネイル」
ネイルは「爪が写っても写真のクオリティを下げない」という空間軸と「爪は常に目に入るのでテンションを上げたい」という自分軸、両方の目的を満たすために選ばれているようです。
-Mさん: 友達は手元をインスタに載せて見られても恥ずかしくないように、地爪を綺麗にするネイルチップを使っています。
-Wさん: 爪は鏡を見なくても見える場所なので、ネイルをすると自分のテンションやモチベーションがよく上がります。
-Kさん: ライブのために推しのイニシャルをネイルにしたりしてますが、1か月くらいつけっぱなしなので日常でも推しを感じられてテンションが上がります。
2. デジタル空間:加工はSNS上のメイク
今回の議論で最も印象的だったのは、写真加工アプリによる修正はSNS(デジタル空間)におけるメイクであるという発言でした。彼女たちにとってSNSに無加工の写真を上げることは「すっぴん」を晒すことに近く、コンプレックスの修正や周囲とのバランス調整はマナーの領域にあることが伺えます。
一方で、過度な加工を避けたい意識を持っており、無加工状態と見比べながら適切な加工度合いを探っているようです。
-Wさん: ネイルをしていない時の写真をSNSに上げるときはハートのスタンプで爪を隠したりします。普通の地爪を写さないというのは、結構共通認識としてある気がします。
-Iさん: SNSに写真を上げるときは大抵加工します。周りの可愛い子に合わせるために写真写りで叶わなかった部分を微調整して載せるのは「SNSの中のメイク」のようなものです。ただ、加工をしすぎても可愛くはないので、やりすぎないように元写真と見比べながら加工してます。
-Mさん: 「SNSの中のメイク」というのはその通りだと思います。私もコンプレックスを隠すために加工しています。
-Sさん: 私も「ザ・加工しました」という顔にはならないように、コンプレックスを完璧になくすというよりも緩和させるイメージで加工しています。
3. まとめ
今回の座談会では、Z世代女子は目的によって、重視するアイテムやこだわり方を以下の様に使い分けていることがわかりました。写真撮影の機会やSNS利用の増加と共にファッションの目的や手段も多様化しているようです。
・服装 = その場の空間に溶け込むため
・メイク = 自分のテンションを上げるため
・ネイル = 写真に写った空間に溶け込ませつつ、自分のテンションも上げるため
・加工 = デジタル空間のメイク。SNSの中での”すっぴん”をさけるため
最後に、今回参加した部員のファッションへのこだわり(一部抜粋)と感想をご紹介します。今回も普段自然と取り組んでいることの深堀りをすることで彼女たちの様々な気づきに繋がったようです。
-Iさん: 普段交流の少ない高校生が考えていることを知ることで彼女たちを身近に感じることができて楽しかったです。
-Wさん: 自分が高校生だった頃よりも、SNSの発達とともに皆の美容意識が向上していることが興味深かったです。
-Sさん: 大学生がスキンケアに命をかけているという話を聞き、自分が「今日1日を盛りたい」という目的でメイクをしているのに対し、大学生は継続的なファッションを意識しているという違いがあることに気づけて楽しかったです。
-Mさん: 高校生と大学生という違いがあるのに、メイクや加工に対する認識が共通していることが面白かったです。
-Kさん: 幼い頃からファッションに興味がありましたが、今回の座談会でその理由が分かったような気がしました。
回を重ねるに連れて部員間の意見交換がますます活発になり、その中で新たな気づきも多く生まれてきています。自分たちの価値観やトレンドへの理解をさらに深めていく彼女たちの今後の活動にぜひご期待ください! 次回のエンタメ部レポートもお楽しみに!
(内田 嵩/西山 恵太)
今回の調査では「加工はSNS上のメイクであり、マナーである」という言葉が特に印象的でしたが、実はこれに近い感覚は日本の歴史の中にも見出せます。
例えば、平安時代の『源氏物語』に登場する「末摘花」では、「古代の祖母君の御なごりにて、歯黒めもまだしかりけるを」と記されており、お歯黒が女性の通過儀礼としての化粧の一つであったことがうかがえます。この習慣は、江戸時代になると既婚女性にとって重要な身だしなみや社会的礼儀作法として一般にも広がり、喜多川歌麿をはじめとする絵師たちの浮世絵にもその様子が残されています。
現代に目を向けると、化粧が何らかのメッセージを伝えるという点は昔と共通しています。空間や場に溶け込むことで帰属意識を示すこともあれば、自分自身への励ましとなる場合もあります。もはや化粧は単なる礼儀作法を超え、自己表現や自己肯定感の向上といった意味合いを含む存在となっています。
一方、SNSという新たな露出の場では、「見せてよい/見せたくない」ものの境界や、無加工の状態では投稿しにくいという心理が働きます。その結果、望ましい姿が暗黙の了解として個々人に形成されているようにも感じられます。こうした状況を踏まえると、SNSで投稿する際に加工を使いこなすことは、現代における新たな「マナー」や「通過儀礼」として機能している側面があると言えるでしょう。時代と社会に応じて、美意識やマナーのあり方は常に変化してきました。日本史におけるお歯黒という慣習と、現代のSNSにおける加工文化は、それぞれの時代で独自の美意識やマナーが形成されてきたという点で共通しているように思われます。(林 佑樹)
調査概要
調査案件 :ファッションに関する調査
調査対象者:CURIO会員(5ss)
調査方法 :インタビュー
調査時期 :2025年12月
調査企画者:エンタメ部事務局/調査企画・執筆
・内田 嵩/西山 恵太(株式会社CURIO SCHOOL)
・林 佑樹(フリュー株式会社)



