当社の事業は、ギャル文化やオタク文化といった、いわゆるサブカルチャーに隣接することが多くあります。これらのサブカルチャーは、特定のコミュニティを形成したり、時にはメインカルチャーへの対抗意識から生まれたりすることもあります。一方で、当社の主要な顧客層である若年層、特に女子高生は、90年代以降トレンドの発信源としてその行動が注目を集めてきました。仮に「大人の文化」をメインカルチャーと定義するならば、それに対抗意識を持つ年代から自然とトレンドが生まれるのは当然の流れといえるでしょう。当社を含む企業に属する「大人」は、この世代の行動や発言内容に注目し、次のビジネス戦略を検討するという補完的な関係にあります(現代風に言えば共創といえるかもしれません)。
このような背景から、当研究所では若年層のトレンドを調査するだけでなく、若年層がどのようなことを考え、何を重視しているかを重要な情報として捉えています。これをわかりやすく示すデータを収集するために、現在の女子高生が自身の高校生活3年間をどのように過ごしたいと考えているのか、どのような体験や取り組みを重視しているのかを、オンラインアンケートを用いて調査しました。全体的な結果については、当社かわいい研究所のプレスリリースで詳しく紹介していますが、本記事では4つのテーマごとの状況についてご紹介します。
本記事でご紹介するアンケートでは、多彩な行動選択肢から選び取る形式とすることで回答者の負担を軽減することを意図し、テーマ別に複数回答形式(以下「MA」とします)で大枠を把握した後で、単一回答形式で「最も重視すること」を尋ねる(以下「SA」とします)構成としました。この方法により、複数回答の順位表と単一回答の順位表では順位が異なるケースがあり、この差異に注目して、各テーマにおける女子高生が重視する行動を整理していきます。
以下の表は4つのテーマ別にMAおよびSA設問での順位をまとめたものです。特に、MAとSAで順位の変動が5位以上あった選択肢については、5位以上上昇したものを青、5位以上下降したものを赤で示しています。
◆テーマ別「高校生のうちにやりたいこと」ランキング表(MA/SA)
まず、学校生活・学校行事では、大きな順位変動は見られませんでした。MAで1位だった「勉強をがんばる」は、SAでは2位となり、大きく下がったわけではありませんが、「最も注力すべきこと」としての認識はやや低いようです。一方、MAで3位だった「修学旅行や課外活動で思い出をたくさん作る」はSAで1位となり、学生時代の思い出作りに重きを置いていることが伺えます。このように、義務的な性格を持つ取り組みは、他のテーマでもMAでは高順位になる傾向がありますが、SAでは順位が下がることがよく見られるようです。それでも、勉強に関しては大きな変動がなく、現在や将来を見据えた勉学への意識がしっかりとあることが伺えます。
遊び・課外活動では、MAでは1位に「プリを撮る」、2位に「カラオケに行く」、3位に「制服でテーマパークに行く」という順位になりましたが、SAでは「制服でテーマパーク」が1位になりました。2位の「プリを撮る」とのポイント差は14.6ポイントと大きく、「制服でテーマパーク」への関心の高さが伺えます。この遊び・課外活動テーマでは、MAの反応数(平均選択数)が11.14個であり、学校生活での7.35個、恋愛での7.48個、自分磨きでの5.66個と比較して、明らかな反応数の多さが見られます。これは、このテーマだけ義務的な性格を持つ活動がなく、「やりたいこと」に対する関心が高いことに由来すると考えられます。
そうした中でも、SAにてプリントシール機で遊ぶことが女子高生たちの遊びの代名詞第2位として認識されている点は特徴的といえます。なお、念のため付記しておきますが、本調査は自社サービス利用者とは直接関係のないアンケートパネル保有社より配信しているため、「プリを撮る」という選択肢に調査主体への忖度やバイアスが影響する可能性は低いと考えています。
次に、恋愛テーマにおける順位変動の特徴としては、「特にない」がSAで2位まで上昇したことが挙げられます。また、MA設問、SA設問のいずれでも1位となった「告白される」の存在も目立ちます。MAでは「特にない」は21位と下位であり、学校生活テーマとほぼ同等の反応数が見られたことから、「もしそのような状況になればさまざまな体験をしてみたいとは思うが、それを自ら作り出す意願(=告白する)は高くない」と解釈できそうです。さらに、「友だちを作る」がMA/SAともに高順位である点からも、恋愛関係構築に対する受動的な姿勢が見られます(ただし、「友だちを作る」は能動的・受動的な問い分けがされていないため、友人関係構築に積極的に取り組む意欲の有無については本調査では判断できません)。
最後の自分磨きテーマにおいては、MA/SAいずれも「メイクや髪型を研究し垢抜ける」が1位となりました。本テーマでは、メイク・髪型研究がSAで2位以降と圧倒的な差を開けていることが特徴といえます。今回の調査はオンライン調査モニタとして登録されている高校1~3年生に対して均等に割り振り、平等に情報収集を行いましたが、そうした世の女子高生たちの自己研鑽の内容として約4割が自分のメイクやヘアスタイルに強い関心を持っていることがわかりました。なお、類似のものとして「ファッションを研究する」という選択肢を設定しましたが、この選択肢はMAではメイク・髪型の約半数、SAでは1%台まで下落しており、いずれも見た目や自己表現に関わる項目ですが、身に着ける衣服と相貌では優先順位が大きく異なるようです。
まとめと考察
以上4つのテーマを見ていきましたが、当社リリースでも紹介した通り、全体的な順位の傾向としては高校生であるこの時期にしかできないことを重視している高校生たちのイメージが示唆されました。筆者個人的には、世代論としてしばしば発信される現代高校生の価値観は、この時代に適応しようとする面に注目が集まりがちですが、本質的には過去の世代と大きな違いはないのではないかと考えます。ただその中でも特に印象的だったのは、恋愛関係構築に関する受動性です。本調査では、ある程度の願望は様々に持ちながらも、具体的な願望の優先順位になると途端に無関心の割合が高いという結果となりました。もちろん世代間比較データがないため確定的には言えませんが、現代的・特徴的な志向であると言えるかもしれません。
本調査からは、女子高生たちの価値観が単なる流行の把握を超え、若年層が未来に向けてどのように自己を形作っているのかということが示唆されます。当社としても、このような“理想と現実の優先順位”を丁寧に読み解くことで、新たな体験価値の創出につなげていきたいと考えています。
執筆:村木宏壽(ガールズ総合研究所リサーチ部)
調査概要
調査企画:令和版・JK のうちにやりたいことに関する調査
調査対象:高校 1~3 年の女性 各学年 150 名分(重み付け集計)
調査方法:インターネットリサーチ(国内リサーチ会社パネル)
調査期間:2025 年 11 月 20 日~2025 年 11 月 25 日
