当研究所では、先般の所長による発表の通り、これまでの主な研究対象であったガールズ、すなわち当社の主要顧客層を中心とした方々の生活について多方面から研究するという立場から、当社が企画・製造するものを含めたあらゆる商品・サービスとそれに対する顧客層との関係を繋ぐ「かわいい」概念・感性を研究することで、研究成果をステークホルダーの皆様により効果的に還元できるのではないかという思いのもと、「フリューかわいい研究所」におけるかわいい文化の発展をサポートしていくこととなりました。
既に発表している「フリューかわいいトレンド大賞 2025年上期」をはじめ、様々なかわいい研究を進めておりますが、本稿ではその第一歩として、「かわいい」モノ・コトによって人々はどのような反応を示すのか、その反応に文化圏ごとの違いがあるのか、そうした関心からまずは自国から近い中国・韓国との「かわいい」について3ヶ国間の比較のためのアンケート調査を行ないましたので、結果の一部をご紹介いたします。
日本・中国・韓国の「かわいい」ランキング
まずは当社の事業の中でも世界観ビジネスに親和性の高いキャラクターの人気動向から、3ヶ国体的な人気の傾向としては、株式会社サンリオのキャラクターの多くが上位群に入っており、個々の人気の高さと総合力が伺えます。そのほか、ちいかわ関連キャラクターやドラえもん、ピカチュウが3ヶ国共通でランクインしています。
続いて各国の特徴として、日本ではちいかわが1位、サンリオキャラクターも多くランクインしていますが、中国・韓国との差異としては、スヌーピーやくまのプーさんなど欧米生まれのキャラクターについてもやや多くランクインしていることが挙げられます。
中国の特徴としては、今年アニメ映画興行収入世界歴代1位となった映画「ナタ 魔童の大暴れ」の主人公ナタ(哪吒, nezha)を始めとした同国生まれのキャラクター人気の高さが特徴ですが、ナタや趙霊児(仙剣奇侠伝)はいずれも中国神話をルーツとするキャラクターで、同国における歴史的文化への親しみが伺えます。
韓国でも、カカオフレンズやLoopy、ティニピンなど、もちろん韓国生まれのキャラクターは上位に入りますが、1位はクレヨンしんちゃんとなりました。クレヨンしんちゃんは92年の日本のアニメ放送開始からまもなく、95年から韓国でも放送され、その文化的な共通点から若者や家庭に広く浸透し、今でも強い人気を誇る結果となったようです。
以上のように、自国生まれだけでなく他国のキャラクターについても、文化的な背景を軸にそれぞれの国における「かわいい」感性に響くキャラクターの様相に違いが見られる結果となりました。
「かわいい」に対する反応の違い
次に、キャラクターに限らず「かわいいと思ったものに対してどんな印象を抱くか」という質問について見ていきます。この質問は、まず自由回答形式で直近1週間のうちで「かわいい」と思った事物を聞いたのち、それぞれの回答した事物に対する印象を「あてはまるものはない」を含んだ24個の複数回答選択肢で伺ったもので、これにより対象とする事物の違いを問わず、「かわいい」感性に対する反応の違いを比較しました。結果については紙幅と読みやすさの関係上、ランキング形式としてあります。
3ヶ国を比較してまず特徴的なのは、3ヶ国共通して「幸福感を感じた」が2位であること、日韓で1位の「可愛がりたい」が中国では少ないこと。また、韓国では「抱きしめたい」や「触れたい」、「手に入れたい」が順位・比率ともに高く、直接的な接触や所有を求める感情が強いのに対し、日本では「眺めたい」が上位となり、所有欲への刺激は少ない結果となりました。
もっとも、日本・中国・韓国それぞれの国における反応数(自由回答形式、複数選択形式ともに、回答した個数)が異なること、中韓翻訳時の訳文のニュアンスの違いといった調査・分析上の特性だけでなく、今回調査では物価や収入に対する余暇消費比率などを標準化出来ないこともあり、本結果における差異がどのような文化的・社会的な違いにより起因するものか、現時点での明確な結論付けは控えることといたします。
文化に合わせた「かわいい」のプロデュースを目指して
以上に見てきたように、「かわいい」に触れることが人々を豊かで幸せにしうること、ただしその際に「かわいい」対象事物との望ましい関係性は、日本・中国・韓国3ヶ国においても違いが見られたこと、「かわいい」対象事物となりうる各種のキャラクターは各国の文化的背景によって同国の人々の「かわいい」反応の引き出し方に違いが生じていることを概観しました。
当研究所では、「かわいい」概念の理解、「かわいい」感性に対する反応について分析、形式化を進めることで、当社におけるエンタテインメントビジネスにおいて、ライセンサーの皆様からお預かりしたキャラクター、自社商品・サービス、ひいては当社商品・サービスをご利用いただくお客様ご本人にいたるまで、さまざまな「かわいい」プロデュース力を高めてまいります。こうした活動が、ステークホルダーの皆様のエンパワメントを高め、自律社会におけるエンタテインメントのあるべき姿を示す一翼を担うことができれば望外の喜びです。
<調査概要>
■日本・中国・韓国における「かわいい」比較調査
調査対象者 :日本・中国・韓国在住の18~29歳女性300名(各国100名ずつ)
調査方法 :インターネットリサーチ
(国内リサーチ会社パネル、および韓国・中国国内提携先パネル)
調査時期 : 2025年5月22日~2025年5月28日


設問:「最近、あなたがもっとも「かわいい」と思うキャラクターについてお答えください。」(自由記述形式)