令和元年に、日本政府から「クールジャパン戦略」が発表されました。その一手段として、漫画・アニメなど、外国人からクールと捉えられる文化の海外展開が挙げられています。
直近では、大阪・関西万博で内閣府知的財産戦略推進事務局が「Cool Japan Showcase Anime Manga Tourism Festival」を2025年4月30日から2025年5月2日にかけて出展し、日本の漫画・アニメの世界への広がりを紹介・体感する展示等を行っています。日本の魅力を世界に発信し、海外での日本の魅力の体験 やインバウンドの拡大、日本ファンの拡大に向けた取組を推進するものです。
弊社の強みとしても、「IPで世界のファンのこころを満たす」というビジョンのもとで展開している世界観ビジネスにおいて、プライズ(アミューズメント専用景品)や、新規事業のゲーム・アニメなど幅広い分野の商品を企画・開発しています。 従来は国内のみの展開でしたが、近年は海外にもその販売網を拡げています。
2024年には海外子会社「FURYU of America, Inc.」を設立しました。同年に、アメリカ・ロサンゼルスにある「Little Tokyo」内の「AKIBA POP-UP & LIVE」にフリューのフィギュアを楽しめる『FURYU POP-UP STORE』を期間限定で出店しました。また北米最大級の展示会や、大学のアニメイベントにブース出展もしました。
このように弊社にとって重要な海外市場のひとつである米国について、日本の漫画・アニメ、そしてそれに付随するキャラクターグッズの購入状況に関する調査を、日本居住者・米国居住者それぞれに実施いたしました。
日本の漫画・アニメは、米国居住の20~30代に広がりつつある
日本居住者の日本漫画の読書経験率について、日本居住者は男女いずれの年代も約9割でした。
米国居住者の日本漫画の読書経験率は男女ともに40~50代より20~30代のほうが高いことがわかりました。男性で26pt、女性で22ptの開きがありました。
続いて、日本アニメの視聴経験率をご紹介します。
日本居住者は男女いずれの年代も約9割でした。
米国居住者は男女ともに40~50代より20~30代のほうが高いです。その差は男性で27pt、女性で21ptでした。
つまり、米国居住者において、日本漫画・アニメいずれも20~30代のほうが40~50代より接触経験が高いということです。
なぜ上記の通り、若年層ほど高いのかは仮説の域を出ず、ここでの言及は控えますが、日本漫画・アニメのすそ野が広がった徐々に広がっているといえるでしょう。
日本漫画・アニメ接触経験者のフィギュア・ぬいぐるみの購入経験率は、米国居住者の方が高い
日本漫画・アニメの接触経験者に対して、日本漫画・アニメのフィギュアやぬいぐるみの購入経験率について聴きました。
日本漫画・アニメ接触経験者を持つ日本居住者の、日本漫画・アニメのフィギュア購入経験率について、20~30代男女は約4~5割、40~50代は約2~3割でした。
日本漫画・アニメ接触経験者を持つ米国居住者の、日本漫画・アニメのフィギュア購入経験率について、20~30代男女は約6割、40~50代は約4~5割でした。
米国居住者のほうが日本居住者よりも、日本漫画・アニメのフィギュア購入経験率が高いことがわかりました。
日本漫画・アニメ接触経験者を持つ日本居住者の、日本漫画・アニメのぬいぐるみ購入経験率について、20~30代男女は約5~6割、40~50代は約3~4割でした。
日本漫画・アニメ接触経験者を持つ米国居住者の、日本漫画・アニメのぬいぐるみ購入経験率について、20~30代男女は約5~7割、40~50代は約4~6割でした。
米国居住者のほうが日本居住者よりも、日本漫画・アニメのぬいぐるみ購入経験率が高いことがわかりました。
つまり、日本漫画・アニメのフィギュア・ぬいぐるみの購入経験率は、日本漫画・アニメ接触経験者を持つ米国居住者が日本居住者と同程度もしくはそれ以上に高いということです。
米国において日本漫画・アニメがさらに普及するにつれて、関連するキャラクターグッズの市場も大きくなる、そんな明るい未来が待っているかもしれません。
今回調査とは別に米国で実施したインタビューで、日ごろから日本の漫画・アニメに触れている20代の大学生が「コロナ禍に自宅で過ごす時間が長かったからこそ、コンテンツ視聴に時間を多く割き、日本の漫画・アニメにハマっていって、フィギュアを買うようになった。それまで、ニッチな趣味と思われていて友人にオープンしづらかったが、見る人が増えたことで恥ずかしいという気持ちがなくなった。家族と過ごすことも多く、日本の漫画・アニメが話題にのぼった」と語ってくれました。
海外のファンに対して、コンテンツだけでなくグッズも含めて世界観を味わってもらい、より身近に感じてもらうことは、このファンの周囲にいる家族や友人にも作品を訴求するきっかけになるかもしれません。ひいては、日本の地域や食といった様々なことへの興味喚起に繋がることを期待したいです。
調査概要
調査案件 :「クールジャパン」の受容性に関する調査
調査対象者:他社モニター800名(米国・日本の居住者を対象にアンケートを実施)
調査方法 :インターネットリサーチ
調査時期 :2023年9月~2023年10月
調査企画者
林 佑樹