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*2021年夏 自社調べ

キャラ推し活から得られる安定的な癒し

一般的に【推し】とは、アイドルや芸能人など好きな人のことを指し、グッズを購入したりコンサートに行ったりと、対象を応援する行為を【推し活】と呼びます。アニメや漫画に登場するキャラクターも【推し】となりえます。2022年に弊社で行った調査上、10代女性のうち約4割が【アニメ・キャラクター】を推していると答えておりました。

そこで今回、10代女性から人気のキャラクターについて、それぞれどのような経緯でファン化していったのか、どんな魅力を感じているのかといったことを深掘りする、ワーク込みのグループインタビューを実施いたしました。16名の女子高大生から頂いた意見をもとに、その結果と考察をご紹介します。

ギャップもかわいいと感じる

長い歴史を持つキャラクターは独自のテーマパークを持ち、例えば家族旅行で遊びに行った経験が好意度を上げるきっかけとなっています。加えて各キャラクターが登場する作品を視聴することで、その魅力をより強く認識するようです。また、お母さまが好きで小さいころから触れていたというお話もありました。家族ぐるみで接点を持つことができるのは、長い歴史を持つキャラクターの特徴・強みといえます。

一方、SNSで爆発的に広がったキャラクターは幼少期から徐々にファン度が醸成されるのではありません。自身がSNSで見たのをきっかけに、例えばキャラクターデザインに対して「ゆるふわな雰囲気で、目がうるっとした表情が好き」になり、さらにそのキャラクターの設定された性格を知るという一連の流れを短期間で行い、急激にファン度が高まります。

なお、インタビュー参加者がキャラクターに「かわいい」という言葉を使うとき、見た目や設定された性格に留まらないことがわかりました。「ゆるふわなデザインだけど毒舌」、「クールな見た目だけど天然気質」と、見た目とのギャップが大きいときにも「かわいい」と感じるようです。

推しから癒しを得る

推し活は主に、リアルに実在する【ひと】を推すものと、実在しない【キャラクター】を推すものに分けられます。【ひと】の推し活は主にアイドル(韓流アイドル・地下アイドルなど)が対象で、見た目や努力している姿を応援するためにグッズを購入したり、ライブに参加したりすることで感動や癒しを求めています。ただし、解散・引退やスキャンダルなどの理由で推し活を中断せざるを得ない場合もあります。

一方で、【キャラクター】の推し活は実在しないこともあり、キャラクターを見て楽しむ(愛でる)ことが中心です。愛くるしいデザインを前提に、作品の世界観の中でそのキャラクターの性格や発言、行動を楽しみ、癒しを得ます。しかし、作品の中だけでは満足できず、日常生活に推しキャラを取り込みたいという意欲が湧くこともあります。その結果、雑貨やぬいぐるみなどのグッズを購入し、時には購入したものを持参してカフェに行き、生活に彩りや特別感を感じながら、安定的な癒しを求めています。
見た目だけなく努力している姿の応援もできる【ひと】に対して、愛でることが中心の【キャラクター】は推し活を楽しめる要素が少ないかもしれませんが、癒しを得られる確実性が高いという特徴が推すための重要な要因となっていそうです。

今回のインタビューを通して、【癒し】を求める原因として若年女性が感じる【疲れ】が印象的でした。彼女たちはSNSを日常的に活用しており、SNSはリアルの延長線上にあります。そのため、炎上や誰かを傷つけてしまう可能性を考慮した使い方をしている傾向があります。例えば、本垢・サブ垢・裏垢のようにアカウントを目的別に分けており、自分が他人からどう見られるかを意識しています。結果として、たくさんの情報を常に浴びている状態が続いているため、疲れを感じやすいと推察されます。そうした疲れを解消する手段として、彼女たちは推し活をしていると語っており、推し活は今や彼女たちにとって欠かせないツールとなっているのかもしれません。

上記の結果や推察をもとに事業者側に目を向けると、【キャラクター】は版元企業が根気よく情報発信や商品提供を続ければ世代を跨ぐことも可能で、長期の事業が期待できます。しかし、緻密なキャラクター設定やデザインはもちろん、ときにはギャップを見せるなどして魅力を強く訴えかけなければ、飽きられるリスクもあります。また、こうしたキャラクターを活用して若年層にアプローチしたい企業においては、より長く愛されるキャラクターを見極める審美眼が求められるでしょう。


図:グループインタビュー中に行った、日常生活とキャラ推し活に関するワークの一部をイラストとしてイメージ化

調査概要

調査案件 :キャラクター推し活に関する調査
調査対象者:自社モニター
調査方法 :グループインタビュー
調査時期 :2024年3月~2024年4月

執筆者

林 佑樹