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プリントシール機ユーザーとの「対話」に見えるVUCA時代の顧客コミュニケーション

2022年07月12日

保守終了プリントシール機についての問い合わせが約40倍増に!

2017年に登場した、人気プリントシール機(以下プリ機)『THECANDYSTUDIO』(以下キャンスタ)。2022年6月にメーカー保守期間の5年を迎え、順次稼働停止となっています。

これに先立ち、TikTokで一般ユーザーにより投稿された動画を発端に、『キャンスタ』の継続について、一部のコアファンからのお問い合わせが殺到。2021年2月のプリ機に対する問い合わせ件数が、通常の約40倍に急増する事態となりました。

SNSの動きがアクティブになっている昨今は、消費者によるオンライン署名活動などが活発化する傾向にあります。そこで、今回問合せが急増した『キャンスタ』のコアファンの方をお呼びし、企画開発者との対談を実施。普段の商品開発におけるユーザーコミュニケーションのプロセスに加えて、『キャンスタ』に特化したヒアリングを行いました。

画質の良さよりも「平成ギャル」のエモさが魅力

『キャンスタ』のコアファンとしてお越しいただいたのは、女子高生4名。対する弊社社員は、プリ機の企画開発を担当する社員です。

企画開発者 どこでキャンスタが保守終了することを知りましたか?

ユーザー プリの機種にめっちゃ詳しいTikTok(のアカウント)があって、そこで『キャンスタ』がなくなるって知りました。JKでお金を出し合ってプリ機を買えるのかとか、1人100円とか出せる範囲で、全員で『キャンスタ』を買おうっていう話が出ているのは見ました。『キャンスタ』だけでも延長してほしいです。もうすぐなくなるっていうから、友達とみんなで撮りためようって言ってます。

企画開発者 『キャンスタ』はいつから使っていただいてますか?

ユーザー 中学生の頃から。最初に出たばかりの時期から好きで、ずっと撮ってます。新しいのが出ても、結局安定して盛れるから『キャンスタ』ばっかりです。

企画開発者 『キャンスタ』のどこが好きですか?

ユーザー 透明感がないのがめっちゃいい。最近(のプリは)はふわふわしているのがいい、みたいになっているけれど、(キャンスタは)目力とか鼻筋がくっきりしてお人形さんみたいで、盛れすぎくらいがめっちゃいいなと思って。アイメイクとかリップとか、メイクの色が変わらないのも好き。カラコンの色もはっきり写るし。その日のメイクが反映されて、ちゃんとその日の顔になるのが気に入っています。

企画開発者 最近のトレンドのようなふんわりする感じは好みではない?

ユーザー “平成ギャル”っていうか、くっきりして画質が良すぎないのが逆にエモい。ガツンと盛れるプリを求めている子の方が多いのかな。最近っぽくないのがいいから、『キャンスタ』が好きなんです。

企画開発者 くっきり写る『キャンスタ』は友達と好き嫌いが分かれたりすることはない?

ユーザー ありますけど、そういうときは2回撮ります。『キャンスタ』を撮ってから、『97%(キューナナ)』で撮るとか、それぞれがやりたいプリ機で撮ればいいと思ってます。

企画開発者 『キャンスタ』がなくなったら、どのプリで撮りますか?

ユーザー (『キャンスタ』しか勝たんすぎて)もう(他の)プリ撮れないかも…。

企画開発者 じゃあ『キャンスタ』を超えるためには、どんなプリが理想的ですか?

ユーザー 今の機種は全体的に大人っぽくなって、(いつ撮っても)顔が同じ雰囲気になる。自分自身はメイクとかその日によって違うから、透明感よりもベタ塗りでくっきりした感じにしてほしいです。

企画開発者 最近の高画質なプリに対してどう思いますか?

ユーザー 画質が良すぎて、輪郭とか髪の毛の影が入ったりして、プリというよりアプリで撮った写真みたい。『キャンスタ』は画質の悪さが好きというわけじゃなくて、写りがくっきりで目がバンってなるのが自分とは完全に別物っていう感じがしていいんです。

企画開発者 今後のプリにどんなことを求めていますか?

ユーザー 画像の良さというより、最近のプリの「韓国大人」とか「キュート」とかっていうコンセプトがあるじゃないですか。透明感がない感じを「平成」「エモい」っていうコンセプトにしたら、『キャンスタ』に近そうで興味を持つ人が多いんじゃないかと思います。

企画開発者 『キャンスタ』企画者の新しいプリ機って言われたら撮ってみたい?

ユーザー それは撮ってみるしかない!
『キャンスタ』に似てるって言われると期待が大きくなって、撮ってから「違うんだけど」ってなるから、同じ人が作っているって言われた方がいいと思います。

対談から得たメーカーとしての気づき

実際に『キャンスタ』のコアファンと対話をしてみると、以下のことがわかりました。

新商品での「自然」「透明感がある」といった訴求とは逆に、くっきりした画質の「昔のプリっぽさ」や「透明感のなさ」に魅力を感じていた。

ユーザーが感じていた『キャンスタ』の魅力から、最近のトレンドである「高画質」「ふんわり」だけではなく、‟平成ギャル時代”のようなくっきりした仕上がりのプリを求めているユーザーが一定数いるということが判明。

現在多くのユーザーに支持され、開発者がトレンドと認識している商品コンセプトとは異なる方向性の商品を求める層の声を聴けたことで、今後の開発に大いに役立つこととなりました。

開発者としてユーザーの理想をもっと拾っていくために、傾聴するだけでなく「対話」が大切

これまでもフリューでは、プリ機開発の中でユーザーの声を聴き、その潜在ニーズをくみ取る手法を確立して長年運用してきました。しかし今回、ユーザーの声を聴いてお互いに意見を交換する「対話」という形を取ったことで、もう一段階踏み込んだ声をキャッチすることができました。

従来のマーケティング手法のさらなる可能性が期待できる

SNSが活発化した昨今では、少数の消費者があげた商品・サービスに対するリアルな声が広まりやすく、そこから消費者運動に発展しやすくもなっています。それに伴いメーカー側も、商品やサービス開発などのあらゆる企業活動において、顧客の声の高まりを敏感にキャッチすることが求められています。また、ユーザーの声を聴き分析することで、より消費者満足へとつながるサービス提供ができることから、顧客との対話は今後ますます重要性が高まっていくと考えられます。

また、SNS上でみられる消費者の生の声は、エンターテインメントの提供者である我々従業員の「モチベーション」にとっても大きな意味をもつことは間違いありません。会社としてスピーディーにユーザーの声を拾い、積極性を以て対応していくことで、従業員と顧客双方のエンゲージメント向上が期待できます。またそれらは企業価値の向上にもつながっていくことでしょう。

今後の商品、サービスの質を向上させるためにも、社外、社内ともに連携しながら、コミュニケーションの質を高める方法を模索していくことが重要です。