コロナ禍以前から若年女性の間には、風邪や花粉症の対策以外の目的でマスクをする人が一定数おり「マスク女子」という呼称も生まれていました。コロナ禍を経て、若年女性が今後のマスク着用についてどのように考えているか、当社の運営するアンケートアプリ「coetto」の登録モニターを対象に2023年3月上旬に行った調査結果をご紹介いたします。
今後もマスクを着用したいのは「公共交通機関での移動時」「風邪を引いたとき」「すっぴんのとき」
「コロナ禍以前はどんな場面でマスクをしていましたか?」という質問に対し「風邪を引いた場合」を選んだ人が最も多く、10代後半で66.9%、20代前半で57.1%、20代後半で59.1%と全年齢で6割前後の方が選びました。
以下は「花粉シーズン」「防寒対策として」「すっぴんのとき」を選んだ方が多く、特に「すっぴんのとき」は20代前半で37.1%、20代後半で38.6%と、3割以上の方が選びました。コロナ禍以前からマスクは、特に20代以上の方には「すっぴんのときに素顔を隠す」役割として使われてきたことがうかがえます。
次に「今後、マスク着用が個人の判断に委ねられるようになった際、どんな場面でマスクをしますか?」と聞いたところ、最も多かったのは「公共交通機関で移動中」で、全年齢で7割を超える方が選びました。
次に多かったのがコロナ禍以前の着用シーンとして最も多くの人が選んだ「風邪を引いた場合」です。こちらについてはコロナ禍前と比較して大きな数値の変化はありませんでした。
今後もマスクを着用したいシーンとして、選んだ人が3番目に多かったのが「すっぴんのとき」です。コロナ禍前と比較して全年齢で大きく増加していますが、特に10代後半では14.7%→44.1%と3倍になっています。
多くの方が社会人となり、日常的にメイクをする人が増える20代以降と違って、10代後半は学生の方も多い世代です。それゆえにコロナ禍以前は「メイクをしていない日に顔を隠す必要性」を必ずしも感じていなかったのではないでしょうか。しかし、マスクをすることが日常だったコロナ禍を経て「メイクをしていないときマスクをしていれば顔を隠せる」ということに気がついてしまった、ということかもしれません。
マスク着用は「息苦しい、暑い、蒸れる」けれど「歯並びや肌荒れを隠せる」「小顔に見える」
「マスク着用のネガティブなイメージはありますか?」という質問に対し、最も多くの回答を集めたのは「息苦しい」で、全年齢で6割前後の方が選びました。以降は「暑い」「蒸れる」「メガネが曇る」「肌トラブルが気になる」「メイクが崩れる」などに多くの回答が集まりました。
年齢による差が大きかった選択肢として「サイズが合わない」については20代前半が6.7%、20代後半が6.8%だったのに対し、10代後半は22.1%と3倍以上の方が選ぶという結果になりました。
「マスク着用のポジティブなイメージはありますか?」という質問に対して、最も多くの人が選んだのは「感染症対策になる」でした。
以降は「花粉やほこり対策」「小顔に見える」「メイクをしなくても良い」「歯並びや汚れ、歯列矯正を隠せる」「肌荒れを隠せる」などに多くの回答が集まりました。
「マスクのおしゃれを楽しめる」という選択肢を選んだ人は、20代前半が9.5%、20代後編が9.1%でしたが、10代後半では22.1%と2倍以上になりました。デメリットとして「サイズが合わない」を選んだ人が10代後半のみ多かったことと合わせて、10代後半女性には「マスクをおしゃれとして楽しもう」という意識のある方が他の世代と比べて多い傾向がうかがえます。
マスクで素顔を隠して小顔に見せることができるというメリットがありつつも、マスクをすることが肌荒れやメイク崩れの原因となる側面もあり「美容」や「おしゃれ」という側面だけ見ても、マスク着用にはメリットとデメリットが混在しています。
今後のマスク使用については、さまざまなメリットデメリットの中で何を重視するかの価値観が、顕在化することになりそうです。
全年齢で3割前後が「今後も常にマスクを使いたい」と回答
「3月以降マスク着用が個人の判断となった場合、マスクを使いたいですか?」という質問に対し、最も多くの回答を集めたのは「状況に応じて使いたい」でした。
「常に使いたい」と回答した方も10代後半で29.4%、20代前半で33.3%、20代後編で25.0%いました。概ね3割前後の方が、調査実施の2023年3月時点では「今後も常にマスクを使いたい」と考えていたようです。
「今後のマスク使用意向とその理由」のご紹介
「3月以降のマスク使用意向の理由や、今後のマスク使用について不安に思っていることを教えてください」という質問に対し、自由記述で回答いただいた内容を一部抜粋してご紹介します。
また、表記についてはお書きいただいた原文のまま掲載させていただいておりますので、ご了承ください。
「常に使いたい」と答えた人の理由
しなくてはならない職種だし、周りの目が気になる(20代後半)
外すのが恥ずかしいので使い続けたい。コロナ禍になってからウイルスに敏感になってしまっているので、余計に感染者数が増えないか心配(10代後半)
マスクに慣れてしまって、外せない。咳をしてる人がコロナかもと思って、避けてしまいそう(20代後半)
メイクしなくても、バレないからマスクを着けたい(20代前半)
マスクに慣れているから。外すのが恥ずかしくなりつつあるから。看護学生なので感染対策をしっかりしないといけないから(10代後半)
周りが咳していてもつけないので自分が着けたい。着用する人が減るとコロナだけでなくほかの感染症も増加しそう(10代後半)
「状況に応じて使いたい」と答えた人の理由
マスクに慣れすぎてしまって素顔を晒すのが恥ずかしいのでしばらくは使い続けます(10代後半)
感染症をうつされたくないから使い続けたい。マスクしてるとメイクしてなくてもいいから楽(20代後半)
仕事や学校ではまだつけていたほうが良いとみなされそうだから(20代前半)
自分の顔のコンプレックスな部分が下半分に集まっているので、マスクをしたほうがきれいに見えるから(20代前半)
息苦しいからいけるところは外して、すっぴんや、気分的につけたい時はつける。コロナ禍で出会った人に素の顔を見せるのが少し緊張する(20代後半)
マスクを外すのに抵抗がある 。鼻水を垂らしっぱなしに出来なくなる(10代後半)
マスクをつけた顔で慣れてしまったからしていない顔を見られることに抵抗がある(10代後半)
学校に入学した時マスクをつけていたので、今更外すのが恥ずかしい(10代後半)
「できるだけ使いたくない」と答えた人の理由
息がしづらいしメガネが曇る(20代後半)
メイクが崩れるし、グロスが塗れないからできるだけ使いたくないけど、顔を出すのが恥ずかしいとも思う(20代後半)
目より下のメイクも楽しみたいから使いたくない(10代後半)
会社ではメイクをしなくていいからマスクを着用して、休日はなるべくマスクをつけないで楽しみたい(20代前半)
そろそろマスクを外してもいいのでは、と思っていたから。息苦しいし何より装着が面倒。でも感染が広がらないか不安ではある(20代後半)
「使いたくない」と答えた人の理由
肌荒れの原因、表情の読み取りづらさメイクの崩れ、息苦しさ(20代前半)
マスクで顔を隠す時代に慣れてはいけない(20代後半)
マスク着用により肌荒れが悪化しているため使いたくない(10代後半)
いただいた回答からは今後マスクを使用し続けるつもりか、できるだけ使わないつもりかの意向に関わらず「感染症が広がるかもしれない不安」と「顔を見られることへの抵抗」がありつつも「肌荒れや息苦しさからは脱したい」という思いが共通して見られました。
サンプル数が少ないため一概には言えませんが「常に使いたい」と答えた方は「感染症への不安」を強く意識し、「使いたくない」と答えた方は「顔を隠すことのデメリット」を意識しているように感じられました。
マスク使用についての意識は、今後の社会情勢や感染状況の変化により、大きく変化していくものと思われます。
ガールズ総合研究所では若年女性の意識の変遷について、今後も調査を続けていきます。
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調査概要
調査対象者:coetto登録モニター 15~29歳女性 285名
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2023年2月28日(火)~3月14日(火)