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*2021年夏 自社調べ

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リサーチコラム 自転車用ヘルメットの着用率増のためにできることは…?

道路交通法の一部改正により、令和5年4月1日からすべての自転車利用者に乗車用ヘルメットの着用の努力義務が課されました。 一方でNHK「自転車 ヘルメット 努力義務化で着用率は? 都立高校 通学利用は着用が条件」(https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20240402b.htmlhttps://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20240402b.html)、RKBオンライン「高校生の自転車ヘルメット着用率3.5%にとどまる 「デザイン性」が気になるお年頃?帽子の下にかぶる“インナーヘルメット”の選択肢も」(https://rkb.jp/contents/202309/202309197955/)などで、学生の着用率の低さを懸念する記事が散見します。学生の安全をより確保したいという、大人側の憂慮があらわれたものなのかもしれません。 努力義務化開始から早1年を過ぎ、今後の着用増に向けて自転車用ヘルメットメーカー側にどんな取り組みが求められるか、都内の学校に通う自転車ユーザーの女子高校生4名にインタビューを行いました。

ヘアスタイルの乱れは【学校(~昼休み)】と【帰り(~自宅)】がピーク

今回参加いただいた女子高校生はいずれも自転車で通学しているものの、自転車用ヘルメットを着用していません。その理由として、髪型が崩れる点があるのではないかと仮説を立てて、まずは学校のある日におけるヘアスタイルのモチベーショングラフを描いてもらいました。その結果をまとめたものが以下の図です。
ヘアスタイルへのモチベーションがもっとも下がるタイミングは、【学校(~昼休み)】と【帰り(~自宅)】でした。
前者は体育・プールといった汗をかくような授業があった際に、せっかく朝にセットしたヘアスタイルが湿気によって大幅に乱れてしまうことにイライラするようです。こうした乱れは、お昼休みのあいだにスタイリングし直すことで解消していました。
後者は放課後に遊んだりしたなかで汗をかき、帰宅途中でそれに気づき、気持ちが下がるようです。自宅に着いたあと、お風呂でケアすることでヘアスタイルへの気持ちも回復しておりました。

自転車用ヘルメットは頭を守れるが、重くてズレる、髪型が乱れる、ダサいと思われている

続いて行ったのが、自転車用ヘルメットへのイメージ抽出です。
義務教育課程における自転車講習や友人のエピソードから「頭を守れる」というヘルメットの安全性はしっかり認識されていることがわかりました。一方で「重い」がゆえに「ズレる」「持ち運びがしづらい」(場合によっては盗難リスク)を感じていました。
デザイン面について、「髪型が崩れる」という悪印象だけでなく、「見た目(デザイン・形)がダサい」という意見もありました。とくに後者は「周りの目が気になる・浮いて見える」といった評価に繋がっていました。この発言に対する深掘りとして、周囲でどのくらい着用したら自身も着用しそうかを聞いたところ、「50%以上」「身近な友だちがつけたら」など、仲間意識がうかがえる結果が得られました。

これらのことから、仮に学校による強制力を働かせたとしても自転車使用が、たとえば“自宅から駅”までの場合は強制力が十分に働きづらいように考えます。
そもそも本人としても積極的につけたいという意志は希薄です。
自転車用ヘルメットを着用すると、一日のなかで【学校(~昼休み)】だけでなく、【登校】時でも髪型が乱れるタイミングを作り出してしまいかねません。ひいては、学校生活の満足度の低下につながるのではと不安を感じます。
また、様々なデザインの自転車用ヘルメットが展開されているものの、彼女たちが認識している範囲でのそれらに対する評価は「ダサいものが多い」です。つまり今のままバリエーションを増やしても、低評価を払拭しづらいかもしれません。
今後、自転車用ヘルメットの着用率を上げようとするならば、より強い強制力を持たせる(自転車用ヘルメット非着用時の罰則を設ける、自転車用ヘルメット非着用時の事故を保険適用外とするなど)という手段があります。
一方で個人的に興味深いと感じたのは、ひとりの意見ではありますが、推しキャラの自転車用ヘルメットに興味を持つ子がいたことです。例えば、推し活グッズとして自転車用ヘルメットを購入してもらうことで、自転車用ヘルメットの価値・意味を変えて、本人が積極的に自転車用ヘルメットを着用いただくことを習慣づける手段もあるのではと考えます。

調査概要

調査案件 :自転車用ヘルメットに関する調査
調査対象者:自社モニター
調査方法 :グループインタビュー
調査時期 :2024年6月

執筆者

林 佑樹