必修化を境に履修率大幅増
情報Ⅰは2022年度より必修科目として新設されました。そのため2023年度時点の高校2年生は入学時に在学中での履修が前提のカリキュラムとなっているものと推測し、高校1・2年生、3年生以上とで情報Ⅰ履修状況を比較しました。
高校1・2年生の情報Ⅰの履修状況(「履修済み」、「履修中」、「履修予定あり」のいずれかを答えた合計値)は72.7%であることがわかりました。これは高校3年生(49.0%)より23.7pt高く、必修化による履修が進んだことがうかがえました。
女性のほうが情報Iの活用期待が低い
今後の生活への活用期待について「役に立つ」と答えた割合は、女性は男性より低いことがわかりました。
また将来希望する進路について、女性は男性に比べて「医療・福祉・介護」を選ぶ割合が高かった一方で、男性(全体)は「エンジニア」「ITエンジニア」を選ぶ割合が高いという結果でした。
必修化の影響で、高いデジタル教養を積んだ情報Ⅰ必修化世代の高校生たちは、進学時・就職時にその技術を遺憾なく発揮することと思います。
ただし女性のほうが将来希望する進路と照らし合わせて、授業内容を実生活で活かしきれないと考えている可能性がみられました。
ワーク実施で理解度があがる
情報Ⅰの授業中、ホームページやゲームの作成をはじめとした何らかのワークを実施した割合は全体の60.9%でした。ワーク実施に対する感想として「難しい」「楽しい」という言葉が多くあがりました。慣れないプログラミングにチャレンジし、自身が思い描いたものが出来上がった際には面白さ・達成感を得ているのかもしれません。
情報Ⅰの「情報社会の問題解決」、「コミュニケーションと情報デザイン」 「コンピューターとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」のいずれも、ワーク経験者は非経験者に比べて理解度が10pt以上高いこともわかりました。
情報Ⅰ必修化に伴って、より多くの学生たちがPCスキルを獲得しました。業務にPCを用いる企業等において、新卒採用者の早い即戦力化が期待できそうです。
一方で女性の「情報Ⅰ」への活用期待度が低いことや、ワーク実施による理解度の差があることがわかりました。前者の解決のために、医療現場や老人ホーム、介護施設などにおけるIT化といった実例を交えた授業内容とすることで彼女らに興味関心をより持たせることができるかもしれません。また後者は、より多くの学校でHP作成やゲーム作成などのワーク導入が必要であると考えます。
調査概要
調査案件 :情報授業に関する調査
調査対象者:社外モニター
調査方法 :インターネットリサーチ
調査時期 :2023年11月15日(水)~11月28日(火)
執筆者
林 佑樹