政府が2025年の大阪万博までにキャッシュレス決済比率 を40%とするKPIを掲げているように、
スマートフォン決済への消費者の関心は高いのではないでしょうか。
女子高校生・大学生を対象に実施した、フリューの2023年・2021年の調査結果をもとに(※)、スマートフォン決済の利用率の伸びや利用種、利用シーンの変化をご紹介いたします。
① 高校生の「スマートフォンの決済機能」利用は19.0pt増
高校生の外出先における決済手段として、前回同様に最多の「現金」(89.2%)に次ぐ「スマートフォンの決済機能」は55.1%でした。
2021年調査結果(36.1%)と比べて19.0pt高く、増加率でみると1.5倍にあたります。
なお、大学生等では「現金」「スマートフォンの決済機能」いずれも、とくに変化が見られませんでした。
② 利用率を伸ばした「PayPay」
利用している決済種は「PayPay」が最多で、高校生(女性)が87.0%で14.3pt増、大学生等(女性)は92.9%で15.8pt増という結果でした。
地方自治体との連携など、盛んにキャンペーンを展開していたことからも、利用率の伸長に繋がったのかもしれません。
③ カラオケでの利用率が伸びた
スマートフォン決済の利用シーンの最多は21年調査と同様「コンビニエンスストア」でした。
一方、「カラオケ」は、全体の割合はまだ少ないものの、高校生・大学生ともに利用率が伸びており、
高校生21.7%で14.9pt増、大学生等25.0%で12.5pt増という結果でした。
コンビニエンスストアなどのお買い物だけでなく、遊びのシーンにもスマートフォン決済が使われ始めたということなのかもしれません。
④ 「遊びのシーン」へ広がる可能性
今回調査結果からも、スマートフォン決済は、現金に次ぐ決済手段としての存在感をますます強めてきていることが分かりました。
また過半数がスマートフォン決済を利用するのに至ったのは、サービス提供者側によるキャンペーン効果も大きいでしょうが、
何より、その利用可能シーンが増えた—例えばカラオケ等—ことも影響があるものと推測します。
民間最終消費支出における決済額ベースではクレジットカードには遠く及ばないものの、利用経験は今回調査の通り、若年消費者の間でも着実に広がっていることがうかがえます。
弊社事業とも近しい遊びのシーンに対するこうしたデジタルマネー利用の可能性については、引き続き注視したいです。
[参考文献]
●成長戦略フォローアップ(令和2年 7月17日)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/fu2020.pdf
●2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました (METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html
調査概要
調査対象者:社外モニター
調査方法 :インターネットリサーチ
調査時期 :[23年度調査]2023年4月13日~4月19日
[21年度調査]2021年4月21日~4月25日
※同テーマの調査は22年にも実施しましたが、調査時期による生活上の変化(友達付き合い等)の影響を除外するため、同時期に実施した21年・23年を比較しました
執筆者
林 佑樹